「鋭く響く、「死んで貰うぜ」…」昭和残侠伝 死んで貰います しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
鋭く響く、「死んで貰うぜ」…
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"昭和残侠伝" シリーズ第7作。
マガジンの付録DVDで鑑賞。
シリーズは1作目と本作しか観ていませんが…
1作目は「我慢に我慢を重ね、遂に堪忍袋の緒が切れて殴り込む」と云う任侠映画の王道パターンでした。
しかし本作では(ストーリーの根幹に変化は無いものの)、秀次郎と幾江の恋模様、秀次郎と小父の寺田の関係性などがとてもエモーショナルに描かれていました。
全体的に人間ドラマに奥行きがあり、秀次郎が重吉と殴り込みに行くシーンでの感情の昂ぶりを強く感じました。行く間際の秀次郎と幾江の会話も胸に迫りました…
冒頭で秀次郎と幾江が初めて出会うシーンがめちゃくちゃ好きです。情感たっぷりで、夜の厳しい寒さが伝わって来るようでした。無一文になった秀次郎に優しく声を掛ける幾江。寒さと悔しさにしばれた体に暖かな優しさが沁みて来るように感じました。こりゃあ、忘れられんわなぁ…
高倉健と池部良、ふたりが繰り出すクライマックスの大立ち回りは見応え充分で、思わず見入ってしまいました。
背中の唐獅子牡丹を披露した秀次郎の剣撃に惚れ惚れ。池部良が先にやられてしまうのもいつも通りでした(殴り込みの前に包丁を置いたシーンに泣かされました)。
このマンネリが、長く愛される秘訣なのかも…
秀次郎が憎き相手に放った名ゼリフ―「死んで貰うぜ」。
こめられた想いの強い分、鋭く響いたように思いました。
※修正(2022/11/28)
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