「鋭く響く「死んで貰うぜ」」昭和残侠伝 死んで貰います しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
鋭く響く「死んで貰うぜ」
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"昭和残侠伝" シリーズ第7作。
マガジンの付録DVDで鑑賞。
シリーズは1作目と本作しか観ていないことを前提にこの項を起こす。1作目は「我慢に我慢を重ね、ついに堪忍袋の緒が切れて殴り込む」と云う任侠映画の王道パターンだった。
しかし本作では、ストーリーの根幹に変化は無いものの、秀次郎と幾江の恋模様や秀次郎と小父の寺田の関係性などがとてもエモーショナルに描かれていて情感を揺さぶられた。
冒頭で秀次郎と幾江が出会うシーンがお気に入りだ。情感たっぷりで、夜の厳しい寒さが伝わって来るようであった。
無一文になった秀次郎に優しく声を掛ける幾江。寒さと悔しさにしばれた体に優しさが沁みる。忘れられぬはずだ。
人間ドラマに奥行きがあるのだ。殴り込にシーンでの激情が尋常では無い。間際の秀次郎と幾江の会話も胸に迫った。
高倉健と池部良のふたりが繰り広げるクライマックスの大立ち回りが、見応え充分の迫力で思わず見入ってしまった。
唐獅子牡丹を披露して長ドスを振るう秀次郎の戦いに惚れ惚れした。池部良が先にやられてしまうのもいつも通りだ。
このマンネリが長く愛される秘訣なのかもしれないが、秀次郎が憎き相手に放った名ゼリフ「死んで貰うぜ」が良い。こめられた想いの強い分、鋭く響いていたように感じられた。
※修正(2025/05/25)
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