「響くね」昭和枯れすすき ろーけんさんの映画レビュー(感想・評価)
響くね
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親が突然死んだらこんなヤバい境遇になるのは多分今も同じかな。境遇は同じでも、この頃と今では人々の心境や人間の雰囲気、生きる力・・何から何まで違うのは妙なもんだ。
高層ビルと、バラックのようなアパートがともに存在していたこの時代。 何でもないような事件を巡って危うい兄弟愛を映し出した。見事な映画だと思った。結局、あの男はあの男なりに彼女を愛していたらしい・・それを知った時の主人公の心境が心に響いた。
このころの日本映画はまだ演技の質が高くて見ごたえがあった。
作劇的には、
殺される男と主人公の妹だけの話ではもたかったところをもうひとり、金持ちのボンボンをかませることによって、映画としての尺を稼いでおもしろさも増した。本当に何でもないような話なんだが見事な構成で緊張感とシンパシーを紡ぎだしていた。そしてクライマックスらしいクライマックスがないのにカタルシス的にはしっかりもってきていてキレの良さをも感じさせた。さすが新藤。
最後のベッドシーン、相手が妹に見えた。そのあとの電車の中、相手が彼女に見えた・・のは私だけであろうか?・・・実に見事な演出の妙だ。
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