「崔洋一の初メガホン + 裕也ワールド全開 = ??」十階のモスキート Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
崔洋一の初メガホン + 裕也ワールド全開 = ??
内田裕也と親しい久世光彦のエッセイによると、
『十階のモスキート』というタイトルは、内田裕也本人に依るものらしい。
よくぞ、これだけ個性的な顔ぶれを数多く出演させられたな、と感心する。
想像だが、大半は内田裕也自身が依頼したのではなかろうか。
お騒がせキャラの一面だけが取り上げられるのだが、
内田裕也の交友関係の広さは業界でも指折りだったとのこと。
小泉今日子、アン・ルイス、横山やすし、ビートたけし、中村れい子、風祭ゆき、吉行和子、安岡力也、、、
脚本&主演・内田裕也が派出所勤務の警察官を演じる。
実生活では、何度も警察のお世話になっていた内田裕也が警察官役って、これ自体がかなりキツいジョークに思えるのだが、この警察官が、「酒・競艇・養育費+慰謝料支払」でクビが回らなくなり、サラ金に返すために別のサラ金から借金する、いわゆる ″多重債務状態″ に堕ちていく。
個人で苦しむのは仕方ないとして、居留守を使って逃げ回りだすと、勤務先である派出所の電話は借金取りからの催促で鳴りっぱなし、署長にまで知られてしまう。
当時の世相を映すアイコンとして、
・流行りだしたパーソナルコンピュータ(PC)
・簡単なプログラミング(BASIC)
・竹の子族
などの映像を取り込みつつ、
『裕也さん、あんたそれがやりたかっただけだろ!』
と思い切り突っ込みたくなるくらい、
濡れ場シーンには、かなりチカラが入っている(笑)。
最初に見たときは、まさかキョンキョンの身になにか起きやしないかとハラハラしたものでした。
キレイに撮れてましたよ、裕也さん。
出世の見込みもなし、
家族との触れ合いもなし、
昇格試験に何度も不合格、
後輩に蔑まれ、
競艇の予想屋にコケにされ、
誰にも必要とされない。
比べると怒られそうで怖いが、
空気としては、ニコラス・ケイジによる『リービング・ラスベガス』を思い出したりもした。
『リービング・ラスベガス』は、孤独な男女の巡り会いに軸足を置いていたので、作品としては似ても似つかないが、
主人公の ″自暴自棄感″ が重なって見えたんですよね。
自分で自分を破壊する衝動、たまにある。
男はかなり弱い生きものなんですよね(T_T)