劇場公開日 2021年12月4日

「それぞれの、心の闇」十九歳の地図 BBBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0それぞれの、心の闇

2021年12月10日
PCから投稿

1979年の作品を、2021年に観た。
キャンディーズの「春一番」が流れている。
舞台の東京都北区王子には「王子スラム」との一画が存在してる。
主人公吉岡が自作の地図にそう記していたので。
人々はまだ「新聞をとること」を当たり前にしている時代の物語だ。

吉岡は世間に参入できない。
屈折した批評家のポジションで世を斬りまくる。
新聞配達の自分にカステラを振る舞ってくれる家族にも「偽善者」とのレッテルを貼って。
どうやら性的に問題を抱えているようで(不能者なのか非異性愛者なのかは不明)
それが彼の心の闇の源泉のようである。
周囲の者たちもまた、みなそれぞれに闇を抱えて生きている。
闇を飼いならしたり、闇から逃げようとしても失敗したり、それぞれだが、
皆「なんとか生きていく」ことで折り合いをつけている。
吉岡19才、この先闇と折り合いをつけて生きていくのか。いかないのか。

BBB