「透徹したリアリズム」十九歳の地図 prisonerさんの映画レビュー(感想・評価)
透徹したリアリズム
主人公が書く地図にはマルはない。すべてバツ。
新聞配達として走り抜ける町の人々のことごとくが鬱屈と憤懣の種になる。
それらの人々の短いスケッチの的確さとリアルさ。
一瞬自分が右翼になった姿をイメージする場面があるが、この青年は紛れもなく40年以上後の今と地続きにある。
今だったら配達は外国人がかなり肩代わりしているだろうが、それを予告するかのように外国人の姿が散見する。
柳町光男監督はこの後原作者中上健二と組んだ「火まつり」では日本の現代に生きる神話世界を描き、さらにアジアとの結びつきにも視界を広げた。
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