「化政文化の黎明期」写楽 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
化政文化の黎明期
有名な謎の絵師・東洲斎写楽を題材とした映画。写楽研究家でもあったフランキー堺が企画総指揮で、写楽を見出す重要人物である蔦屋重三郎も演じている。川島雄三監督の『幕末太陽傳』に主演したフランキーが、次は写楽をやろうと川島と約束したものの川島は急逝。30年越しで約束を実現させたという。
写楽の正体を「とんぼ」と呼ばれる架空の大道芸人とした作品で、公開時は東洲斎写楽、喜多川歌麿、十返舎一九、葛飾北斎、滝沢馬琴、松平定信といった人たちは知ってたが、蔦屋重三郎、山東京伝、鶴屋南北、大田南畝はこの映画で初めて知った(他に鶴屋喜右衛門や寛政三美人も出てきたらしい)。現在では写楽の正体は能役者の斎藤十郎兵衛とする説が有力だそうだが、フランキーは斎藤十郎兵衛説には否定的だったとのことで、本作にも斎藤十郎兵衛はちらっと登場するものの写楽とは別人として描かれている。
とんぼ=写楽役の真田広之、蔦屋役のフランキー、歌麿役の佐野史郎、一九役の片岡鶴太郎、北斎役の永澤俊矢、定信役の坂東八十助(現・坂東三津五郎)など各人物の人物像も印象的で、ヒロインの花魁(架空人物)を葉月里緒菜が演じてるのも今となっては何やら懐かしい。なかなか面白い映画でした。
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