写楽のレビュー・感想・評価
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しゃらくさいの写楽
主人公である写楽不在のシーンが結構多い。ストーリー的にずっと受け身の存在で、自分の意志でいくのは花里のことだけ。おかん(岩下志麻)にスカウトされて一座に加わり、蔦屋重三郎(フランキー堺)の完全プロデュースにより絵師として人気が出るようになった。おかんからも蔦屋からも誘われた際に「しゃらくせぇ!」と返していて、蔦屋にそれで写楽と名付けられる。
はじまって30分くらいで何の映画だったか忘れるくらい蔦屋重三郎の存在が大きくて、蔦屋の死が物語の終わり。人物より時代、江戸文化や風紀、その背景に何があったかまでを懇切丁寧に描いていて、そうゆうのも何の映画を観ているかわからなくなる原因。
松平定信がとにかく厳しくて、思想書や宗教本でもなく、只の娯楽本までを燃やしたりしたご様子。庶民は贅沢すんな、愉しむな、武士の世が終わらぬようにする為の民間統制?的な意味もある倹約令。アートには関心が高いようなのだけどそれよりも庶民の取り締まりが先行する。
台詞一言で済みそうな混浴禁止も役人衆がゴヨウダコヨウダと取り締まり風呂屋に強行突入する場面をわざわざ撮っている。同じく遊郭の足抜けも、遊女を吊るしてドスで刺してギャー!グサっ。ギャー!という場面をシーンをわざわざ撮っている。お江戸でござる的に鑑賞するのはいいかもしれないが、写楽に絞りこんで欲しい。群像劇だとしたら人物にあてた脚本があまり上手くない。
その時代に活躍した人みんなを写し出していて、江戸の雰囲気全体を味わう映画だったような感じもある、扱う人数多過ぎた。印象に残った存在感ベスト9は①蔦屋重三郎②歌麿③写楽④花里⑤幾五郎(十返舎一九)⑥松平定信⑦おかん⑧鉄蔵(葛飾北斎)⑨大田南畝と市川團十郎と山東京伝と岩井半四郎
写楽が集団暴行受けて死んだ、と見せかけて生きていて、葬式は蔦屋重三郎のものでしたエンド。
自分のために楽に描け
世の中倹約令が出ても歌麿の美人画が流行っていた頃、真田広之扮する東洲斎写楽はとんぼと名付けられ大道芸人に入れられた。道中、花魁付きの葉月里緒奈扮する春里が抱いていた猫をとんぼが預かった。とんぼは筆を持つと絵を描く様になっていた。ある日、とんぼの絵がフランキー堺扮する版元の蔦屋重三郎に届けられ見出される事になった。
真田広之の大道芸人振りは、リズミカルで大したものだったね。とんぼにかける蔦重の気合いも立派なものだね。上手く描こうと思わずに自分のために楽に描けと言う。今で言う画家を育てる画廊の役割が版元だったんだね。
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