「文明開花のジャズがする」ジャズ大名 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
文明開花のジャズがする
南北戦争終結後、奴隷から解放された一人の黒人。
あちこち彷徨い、弟、叔父、従弟と再会。故郷のアフリカへ帰ろうとする。
たまたま通り掛かったメキシコ人商人の口利きでアフリカ行きの船に乗せて貰う事に。
が、勿論真っ赤な嘘。騙され、船はどんぶらこどんぶらこ。
叔父が病で亡くなり、流れ着いたのは珍妙な国。明治前夜の日本、駿河の国だった…!
お殿様は噂に聞く黒い肌は元より、彼らが持つ見た事ない楽器に興味津々。
彼らも音楽好き、お殿様も音楽好き。時代が大きく変革するその最中、侍とジャズの異色のセッションが始まる…!
侍と黒人ジャズプレイヤーの音楽を通じての交流。
時代設定や題材はいいが、ストレートな感動を期待するとメチャ音ズレ。
風変わりな作風、笑いもギャグもシュール、登場人物たちもユーモラスと言うよりとんちんかん。
リアリティーは期待していけない。ツッコミ所多々。
映画と言うより舞台を見ているかのよう。ロケーションもほぼ無く、ほとんど城内のみで話が進み、お城の外観や景色も望めない。
クライマックス、あれやこれや用いて大セッション! 胸踊ると言うより、もう勢い任せのがむしゃら。
戦するより音楽で。文明開花のジャズがする。
それなりに面白いと言えばそれなりに面白い。
う~ん…と言えばう~ん…。
好き嫌いは分かれそう。
時代劇やアクションでテンポのいいエンタメを手掛けたり、『日本のいちばん長い日』のようなシリアス劇を手掛けたり、独特な作風の異色作を手掛けたり。
本作は後者だが、どれを取っても岡本喜八映画。
変幻自在で、改めて凄い監督だと思う。
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