釈迦のレビュー・感想・評価
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北林谷栄さん礼讃
京都文化博物館フィルムシアターで鑑賞。
今から60年以上前につくられたスペクタクル超大作。
日本初の70㎜フィルムの映画です(今回は35㎜版で鑑賞)。
最初は日本人がインドやネパールあたりの人々を演じることにちょっと違和感を感じたけれど、舞台・演劇のように見れば、それも気にならない。
ストーリーは、釈尊シッダッタとダイバ・ダッタの対立(といっても、ブッダはほとんど相手にしていないわけだが)を大きな構成軸としている。
伝承とだいぶ違うなと思ったところが多かったけど、そもそも2500年も前のこと。事実かどうかなんて誰にもわからないんだから、これはこれでいいのだ。
いくつかある見せ場の中で、僕がいちばん感動したのは、万灯に囲まれてブッダが説法をする場面。
いや~、北林谷栄さん、やっぱりうまいなぁ。とくに重要なシーンだからこそ、監督はここで北林さんをつかったのだろうな。ほんとにいい役者さんです。
役者といえば、山本富士子、京マチ子、月丘夢路、叶順子などなど、この時代の日本の女優さんたちは、みんな清楚で気高くて魅力的。本当に「スター」という感じがしますね。
それから、壮大なセットをつくりあげた大道具のみなさんにも大きな拍手を送りたいです。
史実性はともかく、大映渾身の大作なのは間違いない仏陀の物語
ストーリーはかなりの改変が施されているが、ブッダ伝説そのものが真正の史実と立証できるわけではないだろうから、これも一つの「ブッダ伝」として、大らかな気分で見る類の物だろう。
映画雰囲気的にはアメリカの「ベン・ハー」や「十戒」などの大スペクタクル物の影響が感じられ、ほぼオールセットの力の入れ具合や、野外ロケもできる限りの力は尽くしたと見做される。
肝心の仏陀ドラマパートが散漫で弱くなったのは否めないが、当時のオールスター結集で少なからず「オオーッ・・・・」という気分にさせられたのだから、これはこれでポジ経験として受容したい。
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