釈迦

劇場公開日:

解説

大映初の七〇ミリ映画で、「新源氏物語」の八尋不二が脚本を書き、「大菩薩峠(1960)」の三隅研次が監督したスペクタクル・ドラマ。撮影もコンビの今井ひろし。(七〇ミリ=大映スーパー・テクニラマ)。主な出演者は「濡れ髪三度笠」の本郷功次郎、市川雷蔵、中村玉緒、「花くらべ狸道中」の勝新太郎など。

1961年製作/196分/日本
原題または英題:Buddha
配給:大映
劇場公開日:1961年11月1日

あらすじ

インド北方の国にあるカピラ城は、ある朝、金色の大光輪に包まれた。スッドーダナ王の妃マーヤーがシッダ太子を生み落したのだ。それから二十年--美貌のほまれ高いスパーフ城の王女ヤショダラー姫の婿となるべき男の武芸大会が開かれた。各国王子の中で最後まで残ったのは、シッダ太子とその従兄ダイバ・ダッタの二人であった。競うこと半日、ついにシッダ太子が勝利を収めた。カピラ城内で太子夫妻の幸福な結婚生活が六年間おくられた。しかし、その頃から次第にシッダ太子の心深くに人生への懐疑が生れた。自らの境遇と奴隷や賤民の身の上との余りの違いに人生の苦悩を持ったのだ。ある夜、太子は心の安らぎと人生の悟りの道を得るために最愛の妻と城を後に禅定の地を求めて出城した。太子の諸国の放浪が続いた。ある時は岩石ガイガイたる荒野を、ある時はヒマラヤ山麓の原始林を--経てある川の畔の大きな菩提樹の蔭に太子の苦行が始められた。一方、ヤショダラー妃への邪な恋情を捨て切れないダイバは、ある夜、策略を弄して妃を犯してしまった。妃は自殺した。この悲報にも太子は城に帰ろうとしなかった。こうした菩提樹のもとにあらゆる誘惑を退けながら六年の間、苦行を続けたシッダ太子は一切の怒りと憎しみを忘れ村の女サヤ(実は帝釈天)の介添により遂に悟りを開いた。太子は仏陀として生れ変ったのだ。鹿野苑の仏陀のもとには、尊き法の教を乞う人達が全国より集って来た。仏陀の高い噂を聞いたダッタは、シュラダ行者のもとで神道力を授かるや敢然として仏陀への挑戦を開始、バラモンの布教に勤めだした。マダカ国のアジャセ王子がその出生の秘密に苦悩し父王と不和であることを知ったダイバはうまく王子に取り入って王子の権力を悪用し、バラモンの大神殿を建造させると共に、仏教徒に対する迫害と処刑を図った。このダイバの余りな非人道的な仕打に次第に疑問を抱き始めたアジャセ王子は鹿野苑に仏陀を訪れた。王子は仏陀の教えに導かれダイバとの訣別を決意した。これを知ったダイバは、王子に国王ビンビサーラ殺しのぬれぎぬを着せ、自らマダカ国王としての宣言を大神殿の台座から怒号した。その時、大地震が起りダイバは巨大な亀裂の中に消えていった。仏陀の怒りが奇蹟をもたらしたのである。それから何年かの間、仏陀の温い慈愛は庶民に安らぎを与えその教えは全世界に広まっていった。そして仏陀の入滅後も、崇高なる教えは全世界の人間の心の中に永遠に生きているのだった。

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スタッフ・キャスト

監督
脚本
八尋不二
製作
永田雅一
制作補
鈴木阪成
撮影
今井ひろし
美術
内藤昭
録音
大角正夫
照明
岡本健一
編集
菅沼完二
作曲
伊福部昭
指揮
上田仁
音楽演奏
東京交響楽団
スチル
藤岡輝夫
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映画レビュー

3.0『ベン・ハー』みたいなの作りたかったのね

2025年1月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:その他

興奮

知的

YouTubeの期間限定無料配信で視聴。
一度観てみたかった『釈迦』が無料で観られるなんてありがたい時代になったものだなあと思う。

当時、大映の社長だった永田雅一が「ワシのところでも『ベン・ハー』とか『サムソンとデリラ』みたいな宗教スペクタクル超大作を作るんじゃー!」と意気込んで製作したのだという経緯を「映画秘宝」で読んだ覚えがある。

監督は座頭市シリーズの名匠三隅研次、キャストも一流どころを揃えた超大作。
なのに、どうにもへんてこなものを見せられているという感じが最後まで付きまとう。

日本人がインド人やネパール人(釈迦はネパール出身)を演じるという違和感には目をつぶるとして、釈迦のキャラクターがとにかく当たり障りがないというか、生彩がない。

本郷功次郎演じるシッダ太子がそもそもそんなに感情移入できるような人間味のあるキャラクターではないのだが、悟りを開いて釈迦となった後は雲の上の人というか、ほとんど神様みたいな描写になってしまってビックリする。

釈迦の敵となるダイバ・ダッタを演じる勝新太郎が主役を食ってしまった、とよく言われるが、主役を食うも何も、後半は主役がはっきりとした姿を見せないという、ある意味トンデモない映画だった。

インドラ神の巨像が崩壊するシーンはなかなか迫力があるが、やっぱり『サムソンとデリラ』でダゴン神の巨像が倒れる方がすごかったなあと思ってしまう。

釈迦とダイバ・ダッタというライバル関係はベン・ハーとメッサラを意識したのかもしれないが、人間描写において『ベン・ハー』にも遠く及ばなかったと言わざるを得ない。

とは言うものの、『ベン・ハー』や『サムソンとデリラ』のような宗教スペクタクル映画が好きな自分のような人間にとってはどうにも嫌いになれない、心に引っかかってくる作品だった。

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盟吉津堂

5.0天上天下唯我独尊

2025年1月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

釈迦、ブッダの話ですが、
悟りをひらいてからは、その教えを乞う人達の話もあり、面白かったです。

この映画を観ながら、以前に観たことがあると思いながら、はっきりと記憶に無いので、随分前のことだと思う。

それと、手塚治虫の漫画、「ブッダ」を読んだのは、先か後かもよく覚えていない。

ストーリーと昔の記憶と自分自身の体調が混ざって、不思議な感覚で鑑賞しました。

「天上天下唯我独尊」

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naomi

3.5北林谷栄さん礼讃

2024年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

京都文化博物館フィルムシアターで鑑賞。

今から60年以上前につくられたスペクタクル超大作。
日本初の70㎜フィルムの映画です(今回は35㎜版で鑑賞)。

最初は日本人がインドやネパールあたりの人々を演じることにちょっと違和感を感じたけれど、舞台・演劇のように見れば、それも気にならない。

ストーリーは、釈尊シッダッタとダイバ・ダッタの対立(といっても、ブッダはほとんど相手にしていないわけだが)を大きな構成軸としている。

伝承とだいぶ違うなと思ったところが多かったけど、そもそも2500年も前のこと。事実かどうかなんて誰にもわからないんだから、これはこれでいいのだ。

いくつかある見せ場の中で、僕がいちばん感動したのは、万灯に囲まれてブッダが説法をする場面。
いや~、北林谷栄さん、やっぱりうまいなぁ。とくに重要なシーンだからこそ、監督はここで北林さんをつかったのだろうな。ほんとにいい役者さんです。

役者といえば、山本富士子、京マチ子、月丘夢路、叶順子などなど、この時代の日本の女優さんたちは、みんな清楚で気高くて魅力的。本当に「スター」という感じがしますね。

それから、壮大なセットをつくりあげた大道具のみなさんにも大きな拍手を送りたいです。

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peke

2.0タイトルなし(ネタバレ)

2023年7月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 1件)
アンドロイド爺さん♥️

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