「下町にふりそそぎ輝く太陽の光を受けて若者達はどこへゆく」下町の太陽 星組さんの映画レビュー(感想・評価)
下町にふりそそぎ輝く太陽の光を受けて若者達はどこへゆく
日本がどん底から這い上がろうとしていた時代、
東京の下町で一生懸命に生きる人々を描いた物語。
町の工場で働く町子はある疑問を持ち始めていた。毎日汗水垂らし働く自分や同僚の未来、下町を抜け出して団地に住む夢、女にとって結婚は幸せなのか、希望の終着地点はそこに有るのか、戦争を生き抜いた老人達は陽だまりの中で笑っている、工場や車の排気で濁る地上の空気、地上で生きる自分達の夢は確かなのか、何が正解で何が間違いなのか、手探りの毎日と見えない未来に揺れる心があった。
賠償千恵子演じる町子は笑い
家族の問題と恋の行方に悩む。
それでも彼女は明るく生きる。
物語は結末を見せないで終わる
いつもの町子の姿を映し終わる
このあと彼女がどんな恋をして
どんな結婚生活を送るかわからない。
山田洋次監督は若い彼らを通し
幸せや、やり切れなさ、残酷さ、
そんなものを当時の日本人に見せた。
同時に未来に生きる僕らに教えた。
日本にはこんな時代があったことを。
タイトルの「太陽」の意味を考えてみた。
太陽は下町で明るく生きる町子ではなく
あの下町に降り注ぐ光を受け生きる人
未来に進もうとする若い人たちだと。
「下町の太陽」
降り注ぐ光は同じでも
受け取る人で意味は違い
ある人には活力となり
ある人には無でしかない。
映画は現実を映している。
埃っぽく匂い立つあの辺り
今はあの辺りの面影はなく
20代の当時の出演者は
今は80歳を過ぎている。
そして
東京スカイツリーは
あの辺りである。
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