死者の学園祭のレビュー・感想・評価
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無双の深田恭子は、既にここにあった!
WOWOW「人気女優・深田恭子のさまざまな魅力に迫る」特集にて。
お粗末な脚本を、監督の篠原哲雄は頑張って演出しているなと思う。
なにしろ、すべての展開が唐突なうえに説明は一切なく辻褄など無視した脚本なのだから、さぞかし大変だったことだろう。
「地下室で見たことは誰にも言うな。今度はお前が殺される」と、謎の転校生・内田朝陽に忠告された深田恭子が、次のカットで演劇部顧問の加藤雅也にすっかり話し終えているなど、笑わせようとしてるとしか思えない。
赤川次郎の同名の学園ミステリー小説を原作に、この2年前にフジテレビのドラマ「神様、もう少しだけ」(脚本:浅野妙子)で一躍脚光を浴びた深田恭子を主演に据えた、角川書店、ホリプロ、東映、アスミック・エースの共同プロジェクト。
いわゆる〝アイドル映画〟といって良いだろう。
エンディングの曲も深田恭子が歌っている。
この映画の評価ポイントは、映画初主演の深田恭子自身以外に見当たらない。
当時、堀越高校の現役高校生だった。
深田恭子の素人演技は初々しいが、彼女は40歳になっても芸風が1ミリもブレていないことがわかる。長く役者を続けていれば、少なからずテクニックが身についてしまうと思うのだが、そんなことは微塵もない。
ある意味で深田恭子はこのとき既に完成していたのだ。
映画の序盤で宮崎美子と深田恭子が食卓を挟んで向かい合う場面がある。この図にある種の迫力を感じたのは私だけだろうか。そのポイントはここには書かない(恥ずかしいので)。
深田恭子は得意のピアノ演奏を披露し、“乙女走り”も見せているぞ!
篠原監督の演出は頑張っていると述べたが、残念ながらアイドル映画に徹した演出ではなく、なんとかミステリーに仕上げようと涙ぐましいほどに努力している。
唯一、一件落着した後の深田恭子を自転車に乗らせたシークェンスが、彼女を見せることに集中している。
加藤雅也との大胆なラブシーンが織り込まれているが、その前後ずっと深田恭子は自転車に乗っているという斬新さ。彼女の自転車さばきも意外に大したものだったり。
これが本筋が終わった後というのが残念だ。
このフィーチャリング深田恭子のテイストを全編で貫いていたら、もしかしたら『翔んだカップル』(’80)や『時をかける少女』(’83)に匹敵するアイドル映画になったかもしれない。
が、篠原監督が目指したのはあくまでもミステリー映画だったのだろう。
高校生役の俳優陣は深田恭子の演技力に合わせたわけではないと思うが、みな学芸会演技。メインキャストにセイン・カミュなどもいて、重要な役で出演している筒井康隆がまるで演技派俳優のように見える(笑)
断っておくが、深田恭子を揶揄しているのではない。
彼女の魅力は“迫真の演技”とは別次元にあって、それが許される唯一無二の存在なのだ。ルックスだけではなく、あの演技と言えない演技も込みで女優・深田恭子の気高さがあるのだ。
残念なのは、映画では作品に恵まれていないということだ。
といっても、『下妻物語』(’04)で女優賞を受賞しているし、アニメ映画『豆腐小僧』(’11)では声の演技が評価された。そういう事実を忘れてはいけない。
本作が、そんな作品への踏み台だったかどうかは分からないが…。
酷いの一言。
主演が深田恭子だからなのか原作が赤川次郎だからなのか分からないがとにかく造りがチープで、テレビの2時間ドラマレベルで、誰もが大根役者に見える珍しい作品。恐らく貴重だと思うのだが深田恭子が主題歌を歌っている。
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