事件のレビュー・感想・評価
全2件を表示
チンピラ、ヒモの渡瀬恒彦の演技。そして松坂慶子と大竹しのぶのヌード対決も見ものだ
宏(永島)が同棲相手の美子(大竹)の姉ハツ子(松坂)を殺した。動機として上げられたのは、妹との同棲と妊娠を知ったハツ子が中絶をすすめるが拒否して美子の母親と宏の父親に事実をチクると言ったことに腹を立てて殺したというもの。最初から動機が不自然であることや、証人の発言が思いこみによるものだったということを弁護士である丹波哲郎が覆してゆくといったもの。
全体的に、裁判での細かい点(証人に金銭が渡されること、検事は2種類いる等々)の描写があった。ハツ子の残したバー・カトレアのツケのリストという証拠物件。捜査の落ち度は突っ込むべきところではあるが、検察システムの矛盾などを軽く批判したものだったのかもしれません。被告人と弁護士の接見、打ち合せもなかったし、弁護士の独善性も考えられます。
少年法の問題もほのめかし、荒れた人生を送るハメになった松坂慶子の原因が米軍基地問題や、男の身勝手なレイプといった社会問題もありました。二人の実家も今にも崩れ落ちそうなバラック小屋みたいな貧しい生活。不幸を背負った者は幸せな人生を手に入れることもできないのかと、悲しくなってしまいます・・・
ヒモの渡瀬恒彦だって根は悪い奴ではなさそう。ラストの渡瀬、大竹のちょっとした会話からは、ひょっとしてお腹の子の父親は?などと余計なことまで考えられそうな演出だった。
【2006年映画館で】
事件は人が起こす
Amazon Prime Video(プラス松竹)で鑑賞。
原作(創元推理文庫版)は既読です。
リアリティーたっぷりの法廷シーンで暴かれていく、「ありふれた事件」の裏に秘められた愛憎劇が激しく切ない。
豪華キャストの演技合戦も見どころであり、当時の若手俳優たちが物語を牽引しベテランが脇を固める手堅さが良い。
判決としての真実と各々の胸に秘めた真実はそのまま人の心の複雑さを表しているようで、ミステリーの面白さと松竹映画らしい人間の機微に迫るドラマが見応えたっぷりでした。
全2件を表示