「昔の役者はすごい。」事件 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
昔の役者はすごい。
原作を先日再読したので、映画も観直してみた。
公開時と、DVDが開封されていたので、DVDを買ってから1回観ているようなので3回目の観賞。
原作を読んだすぐなので、その比較を中心に見ていったが、弘(永島敏行)とハツ子(松坂慶子)の関係は、原作でははっきりさせていなくて、僕はなんにもないと単純に思ったのだが、映画はそこもはっきりと示していた。関係があるのとないのとでは、まったく違うものになってしまう。
物語的にははっきりさせなくてもよかったのでは。
脚本の新藤兼人も野村芳太郎監督も、動きの少ない裁判シーンが多いので、その点での苦労がしのばれる。
だが、やはりその裁判シーンは見応えがあった。特に芦田伸介である。検察の起訴状朗読を全文やってのけ、その後の冒頭陳述もきっちり朗読していた。退屈しないような演出は施されていたとはいえ、彼の力量に負うところも大きい。丹波哲郎や佐分利信ももちろんよかった。この3人をキャスティングできたのが大きかった。
いまの日本映画界の俳優は、本作が公開された1978年当時と比べると、層が薄くなっている気がする。
映画はデジタルになり、CGでなんでも映像化できるけれど、役者の芝居はやはり人間のもの。僕は大きいスクリーンで役者の芝居を観ていきたい。
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