「韻を踏む様な台詞。相槌を打つ。つまり、会話を確かめ合う。」秋刀魚の味(1962) マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
韻を踏む様な台詞。相槌を打つ。つまり、会話を確かめ合う。
『日本は戦争負けて良かった』
『そうですかね?うーん、馬鹿なやつがえばらなくなったから良かった』
韻を踏む様な台詞。相槌を打つ。つまり、会話を確かめ合う。
それが小津安二郎監督の良い所だと思う。
映画のストーリーは昭和の男目線な古い概念で進んで行く。
ここの登場人物は、本当の貧乏人ではない。飲んでいるウィスキーが『ホワイト』。飾られているウィスキーが『オールド』。高級料亭みたいなところで飲むは『ジョニ赤』
ゴルフなんて、この頃は影も形もない時代だった。
洗濯機、冷蔵庫、掃除機が普及し始める時代で、テレビ、電話、自動車は出始めの頃だ。
つまり、この映画で描かれる家族は、中産階級以上の家族で、『秋刀魚』と言うからには目黒の高級住宅街で走る電車は、大方目蒲線か井の頭線じゃないかな。
因みに僕は江戸川区小岩。下町の出身だ。下町が全員貧乏人ではないが、我が家は、テレビのブラウン管には幕がかかっていて、仰々しく、鎮座していたのを思い出す。
ちなみにちなみに、僕が最初にハマったテレビ番組は『アラカザンの魔法』と『ハワイアン・アイ』って番組だそうである。あまり覚えていない。テレビがあるのは親父が外国のドラマが好きで、安月給で買っていたからだ。勿論、白黒テレビ。
2023年 12/26 数少ない友人から旧国営放送で『秋刀魚の味』やってるよってラインが入る。
残念ながら、我が家にはTVが無いので『もう、見たよ』とだけ答えた。でも、気になるので、もう一度見てみた。しかし、旧国営放送は冬真っ盛りの時に秋刀魚とは季節感が無い。
この所、小津安二郎監督の映画を何本か見て、思ったことは、この手法は後の『TVドラマ』に利用されていると感じた。『CASTや設定を使い回す』経費を抑えて、演出に力を入れる。小津安二郎監督だから出来る事である。しかし、高学歴だけのTVディレクター上がりが作ったドラマは、ただのマンネリですぐ飽きられる。だがしかし、日本人は忍耐力が強く、50本も同じ映画を見せられて『名作』と言わしめる。『日本は良き苦になり』じゃない 『日本は良き国なり♥』