座頭市御用旅のレビュー・感想・評価
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大映のリメイクだと思うが。 見たことがあった。 浪花節調になってい...
大映のリメイクだと思うが。
見たことがあった。
浪花節調になっていて、これからどうするんだろう。
殺陣が少ない。仕方ないか。
森繁対三國
シリーズ23作目。1972年の作品。
男に襲われた女を助けた市。
が、身籠っていたその女は命尽き果て、寸前に産まれた赤ん坊を「野州・塩原の佐太郎の元へ」と託す。
これで何度目になるだろう、市の子連れ旅。
その市に石を投げ付け、後を追う少年の影があった…。
目的の宿場町。
訪ね歩いて佐太郎を探すが帰っておらず、妹の八重に赤ん坊を預ける。
そんな時町に悪徳やくざの鉄五郎がやって来て、横暴を振るう。八重の身体をも狙う…。
鉄五郎の無法や町の治安を守るは、老目明し(岡っ引き)の藤兵衛…。
話の立ち上がり方は勿論、大まかなあらすじや設定もあるある。
マンネリっちゃあマンネリだが、それなりに本作個性も。
浪花節風ナレーションはクセになる。
監督は勝新の出世作『不知火検校』のベテラン、森一生。これが最後の映画監督作となったが(その後TVへ)、ツボを抑えたテンポのいい演出は飽きさせない。
だけど個人的に見応えあったのは、日本映画界の二大名優スターの共演。
森繁久彌と三國連太郎!
森繁は藤兵衛役。
社長シリーズなどで喜劇俳優の印象強いが、変幻自在の演技派。重厚で渋みのある演技を披露。
三國は鉄五郎役。
『~牢破り』では善人から悪人へと変わるやくざ親分を巧演していたが、今回は登場したその瞬間から分かるTHE悪役! ある意味、悪役三國の土壇場!
この二人の共演は本作が初めてではなく、本作以前にも何度かあるらしい。
でも、自分は見るのは本作が初めて。
だから、二人が同じ画面に映るだけでも、ス、スゲェ…。
これだけでも見る価値あり!
かと言って、勝新も押されっ放しばかりではない。そこは勿論主役!
町人から祭りの稼ぎをぶん取ろうとする鉄五郎。そこへ現れ粛清する市。
鉄五郎の子分は若き石橋蓮司と蟹江敬三。鉄五郎一家から命を狙われる事になった市。雇われた人斬り、伝十郎。市の剣の腕に惚れ込み、正々堂々勝負を申し込む。若き高橋悦史が爽やかさすら感じさせる。
佐太郎が帰ってきた。市に礼を言う。開幕から市に石を投げ付け後を追っていた少年は、佐太郎と死んだ女の息子。少年は市が母親を殺し、佐太郎が妻に持たせた20両も盗んだと勘違い。「人殺し!」。息子の言葉を信じた佐太郎は市に復讐を誓う…。
藤兵衛の息子、清次。やくざのパシリみたいな仕事をして、父とはソリが合わず。ある時父に殴られ、目が覚める。これから真っ当に生きようと決めた時…、父は鉄五郎に殺されていた。が、清次は父を殺したのは市と勘違い。父の十手を手に取っ捕まえようとする…。
まさに、四面楚歌!
本作のメイン登場人物のほとんどから狙われる市。
果たして、この絶体絶命を脱する事が出来るのか…!?
クライマックスは市、鉄五郎一家、佐太郎、清次と目明しらが入り乱れ。
目的もそれぞれ、救出、怒り爆発の殺し、復讐、御用…。
鉄五郎が放った火の海に、市は大苦戦。
しかしそれは、市の怒りの炎。
市よ、怒りと共にこの悪党どもを斬れ!
馬鹿息子と思っていた清次の最後の機転。
そしてラストシーンの伝十郎との勝負。
秀逸であった。
「人殺し!」
子どもに石を投げつけられる座頭市。実はその少年・健太は赤子を出産して死んだ女の息子だったのだ。お八重は親のために借金を作ってしまったのだが、高利貸しの手によっていつのまにか借金額は20両に。その20両を佐太郎が作って身重の妻に持たせたのだった。健太は母親を殺したのは市だと言い張り、また金を奪ったのも市だと佐太郎に告げた。誤解の解けぬまま、市は賭場で金を稼ぐ・・・
鉄五郎一家の賭場で荒稼ぎした後、子分たちに襲われるのだが、斬ろうとしたとき健太が市を「人殺し!」と叫んだことから市の手が止まり、捕まってしまう。剣客の相良伝十郎(高橋悦史)に助けられ、十手預かりの藤兵衛(森繁)に自首して20両を作ろうとする。指名手配中だったお触書がここで生きてくるんだな。市の男気に惚れた藤兵衛は自分の金を市に渡すところはちょいと泣ける。。しかし、直後に鉄五郎に斬られるのだ。そして、金を届ける前に佐太郎は鉄五郎一家に騙され殺されてしまう。
全体通して講釈がなされ、浪花節的なイメージ。お笑いキャラとしても旅芸人役の笑福亭仁鶴や二度目となる正司敏江・玲児がいい。それに冒頭での出産シーン、獅子を被った市、女壺ふり師など、今までにない演出がなされていた。最後にはほんのちょっとしか出番のなかった高橋悦史。この潔さもなかなか・・・
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