新座頭市・破れ!唐人剣のレビュー・感想・評価
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勝さん対ワンユウさん
そもそもワンユウさんの片腕剣士シリーズの元ネタが、東南アジアでも大ヒットしていた勝さんの『座頭市』シリーズ。
「座頭市」の盲人というハンディキャップの有る主人公が主役という設定からインスパイアを受け、片腕に置き換えて作られた作品が『片腕必殺剣』だったが、これも人気を呼んでシリーズ化された。
そこで今度は“本家”と“分家”対決みたいに企画された合作が本作。
それで今度は「言葉が通じない」という、両者間の“ハンディキャップ”まで加わって、「意思疎通出来ない」事から生まれる誤解により決闘に発展してしまうという、結構強引な展開のお話。
でも、そうでも無い限り、二人とも正義じゃ戦う展開にならないし、両雄なり立たずでしょうって?
でもその昔、実際に初めてTV放送された時には、そういうの知らないで観たので、「いつまで行き違い状態なんだよ….?」と、なんかイヤナ予感してたら、アラアラ闘い始めちゃったよって…..
てっきり、何処か(第3の敵とか、誰かの乱入で)途中で理解するのかな?、と思ってたら、本当に最後まで殺っちゃったのでビックリしたという思い出。
因みに、ワンユウさんが死んじゃう展開のは日本向けバージョンだったという事です。
アチラの版では、勝敗が逆になってると言われていますが、長年、実際にこの目で確認してみたいと思ってこれまでも探したりして来ましたが、未だ叶わずで残念な限りです。
このこの事はデマ(伝説)では無いようです。
香港映画とかは、別バージョンとか幾つか合ったりしますからね....
この作品の前の1972年には既に、自ら監督・脚本した自身初のカンフー作品『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』に出演しており、『新座頭市・破れ!唐人剣』を挟んで再び、今度は「片腕」と「カンフー」の合体作『片腕ドラゴン』に出演となるが、日本公開は順番が逆になっていた。
更にその後は1973年にブルース・リー作品の監督で有名だったロー・ウェイ監督と組んでの現代物『冷面虎 』にも出演するも、日本を舞台にした作品だったにも関わらず、未公開に。
この企画をリー氏が蹴って、自らコンコルド・プロダクションを設立して初めて監督・脚本・武術指導・主演の四役を務めた『ドラゴンへの道』制作し、決別したと言われている。
ということで、伝説的だった作品なので当然、『冷面虎 』は海外版ビデオを購入して鑑賞しましたが、まあ、ごく普通の邦画みたいなかんじというか、相手役の女優さんが国内でも『サインはV』で有名だった岡田可愛さんだったにも関わらず、未公開となった訳が分かるような....
取り敢えず、その後の『スカイ・ハイ』の方が、数倍面白く感じられるくらいです。
更にその後の『片腕カンフー対空とぶギロチン』 がやっぱり一番お似合いですよ、というかしっくりピッタリ来る方だと思いましたね。
参考までに、海外版ビデオ買ってた中に、ワンユウさんの「片腕」系で、最後の決戦で肝心の”片腕を切り落とされてしまって両腕無し”になってしまうという凄いのがありました。
唖然としてたら、実はもう片方の腕は隠していただけで、そちらの腕で相手にトドメを刺すという物凄いオチ(?)でした。
うぅ〜ん、それってなんだか...では?
やっぱりワンユウさんは凄いです.........
片腕ドラゴン!!!
王剛(ウォング)は片腕。まったく日本語がわからない。それで少年が片言の日本語で通訳するのだが、異国間のやりとりは面白い。目的地の福龍寺の途中、一軒の民家に泊まるが、そこで真相を聞かされる。少年と両親を助けるべく大名行列に飛び込み3人ほど斬ったあと、南部藩の侍が通行人全てを斬り殺したのだった・・・
今回のお笑い役はてんぷくトリオ。しかも三波伸介が盲人役だ。
古川の藤兵衛一家は大名に取り入るため血眼になって唐人を追い、かくまっていたお米(寺田路恵)の両親をも惨殺する。捕えられたお米は藤兵衛に座頭市が密告した悪者だと吹き込み、その結果、お米の恨みをかうことに・・・お米は王剛と少年と同行して福龍寺へ行くことになった。
福龍寺に到着したかどうか心配になった市は様子を見に行こうとしたため、そこで王剛の親友である日本人坊主の覚全(南原宏治)と出会い、彼が藤兵衛一家に密告するのだ。金欲しさのために、こうも人間は狂わされるんだな・・・と、襲われ、少年を連れ去られた王剛とお米。またまたお米は座頭市を憎む。
王剛は少年奪還のため単独で引き渡し約束の地へ向かい、そこで覚全も親友でありながら裏切ったことに気付く。片腕ドラゴンはバッタバッタと悪人を斬るが、最後は座頭市とも闘って死ぬのだ。。
決闘の場所も香港カンフーによく出てくるような石切り場。言葉さえ通じていれば斬り合わずに済んだのに・・・と両者が中国語と日本語でつぶやくところが痛々しい。
酌婦お仙役の浜木綿子は40年前の映画だというのに、今と全く変わってない感じ。言葉の通じないジミー・ウォングがとてもいい。『片腕ドラゴン』シリーズと同じ、片腕の設定もB級感があふれてる。
藩士たちの凶行はそれほど現れてないが、大名行列に飛び込んだ者を斬るだけではなく、それを目撃した人間も斬り捨てるということがかなり社会派タッチで描かれればもっとよくなったかもしれない。
座頭市対片腕唐人剣士
シリーズ22作目。1971年の作品。
市は絶命寸前の唐人から幼い息子を託される。日本に来て間もない謎の片腕唐人剣士・王とも出会い、二人を福龍寺に連れて行く事になるのだが…。
毎回ビッグスターや名優をゲストやライバルに招いてきたが、本作では遂に海外スターを招待。
香港のアクション・スター、ジミー・ウォング。『片腕必殺剣』『片腕ドラゴン』などで大ヒットを飛ばし、“天皇巨星”と呼ばれるほど人気を誇った。
そんなジミー・ウォングが片腕剣士という当たり役を彷彿させる役を演じる。ハンディキャップを負いながらも滅法強いというキャラは、何処か座頭市に通じる。
座頭市シリーズ22作目でもあるが、片腕必殺剣シリーズ3作目にも当たるという。言うなれば、クロスオーバー。本当に作品と作品、垣根を越えた。
何と言っても見所は、日本の大スターと香港のアクション・スターの“共演”と“対決”。
二人のやり取り、市は王の言葉が分からない。王は市の言葉が分からない。
一応日本語が分かる幼い子供の片言の通訳があれば何とか成り立つものの、それ以外は全く。
市の台詞、「同じ人間で言葉が分からねぇっておかしなもんだ」。
でも、そこが非常にリアルである。こういう時代、『ラストサムライ』みたいに都合よく言葉が分かる人物など居ない。
それがまたラストシーンに響いてくる。
『座頭市と用心棒』は“対決”と呼ぶにはいささか物足りなかったが、本作はたっぷりと。
クライマックス、剣を交える事になる二人。
超人的な身のこなしで襲い来る王。
防戦、苦戦の市。
傷付き合いながらも、激しい闘い。
シリーズ後期でも屈指の一戦だろう。
激闘の末、勝ったのは…?
(尚本作、日本バージョンと香港バージョンがあり、微妙に作風やクライマックスの勝者が違うという)
ドラマ面も悪くなかった。
異国の者同士のコミュニケーション。
唐人狩りが執拗に追い、途中市らは親切な一家に一晩世話になる。
が、ここで悲劇が起こった事から…。
誤解、裏切り、不条理、闘わなくて良かった闘いを…。
もし、言葉が通じていたら…。
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