座頭市あばれ火祭りのレビュー・感想・評価
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脚本:勝新太郎
競りに掛けられた旗本の元若妻(吉行和子)を闇夜で救った座頭市。その晩、若妻は逃げ出してしまうが、浪人(仲代)に斬り捨てられてしまう。林の中、月の光が差し込む幻想的な雰囲気での殺陣。さすがに宮川一夫だ。
黒子の親分の襲名披露の席、盲目の闇公方に睨まれ、黒子の親分(金田龍之介)のところに草鞋を脱いだ。しかし、親分衆の集まりで反対票1票によって座頭市の暗殺が決まる。賭場でお喜代(大原)という女に惚れた市。彼女と再会し、旅を続ける市であったが、実は彼女も大親分の女であり、殺しの仕掛人だった。
梅次(ピーター)もヤクザになりたいがために市を狙う。男色のふりをして市に迫るところが面白い。なぜか茶店での正司敏江・玲児のドツキ漫才が印象に残る・・・
クライマックスは大親分が開催した大花会。余興として、池の真ん中で市を殺そうとするのだが、まずはサイコロでのさしの勝負。ところがサイコロには目がない。二人とも盲目であることの皮肉。そして油がいっぱいの池に火を放つ。そこからはお得意のなで斬りだ。お喜代を人質にして市に刀を捨てさせたが、ずっと市と勝負をしたがっていた浪人が助太刀にはいる。ラストはやはり勝新対仲代という対決だ。ちなみに音楽は富田勲♪三味線をバックに『ジャングル大帝』を演奏しているかのような曲があった(笑)。
大原麗子も甘ったるい声で色っぽいのだが、やはり吉行和子!ちょっとしか登場しないが、セミヌードがなかなか。これなら300両も惜しくない・・・?
善盲対闇盲
シリーズ21作目。1970年の作品。
とある村で、百姓から悪どい取り立てをするやくざ子分を斬った市。その子分が、各やくざ親分の大親分、盲の闇公方であった事から、一夜の内に市暗殺指令が各やくざ組織に命じられる…。
自分が盲なのはご先祖様の罰を背負っている。格言を言ってるようだが…、今回の親玉はシリーズでも相当のワル。
常々市は言う。俺たちやくざはお天道様の下を歩けない。
しかし、この大悪玉はのうのうとお天道様の下を歩き、子分どころか堅気の人まで頭を垂れさせる。
いそうでいなかった盲の敵。同じ盲でも、こうも違う。
森雅之が怪演とも言うべき存在感。
闇公方は右腕であるやくざ親分の娘を使って、色仕掛けで市を罠にハメる。
その娘・お喜代が市に恋心を抱き…。
色っぽさと何処か悲劇的な役回りは大原麗子の十八番。
序盤、妾市で一人の若妻を助けるも、付け狙う輩に斬られてしまう。(ちなみにこの若妻を演じた若き吉行和子がこれまた色っぽい!)
夫である浪人が輩を瞬く間に斬り捨て、市も執拗に追う。
今回のライバル、仲代達矢が痩せこけた風貌、ギョロッとした目付き、黒澤作品で鍛えられた殺陣で市と渡り合い、さすがの存在感を示すが…、
果たしてこの役、本当に必要だったのか疑問。いなくても市対闇公方だけで成り立つちゃあ成り立つ話である。
勝新太郎が初めて脚本に参加。(これまでにも参加していただろうが、初クレジット)
冒頭ナレーション、妾市、盲の敵、クライマックスの罠を仕掛けた火あぶり…いや、タイトル通りの“あばれ火祭り”!
色々アイデア駆使し、何処がどうと言う訳ではないが、いつもと変わった雰囲気を感じたのだが…、
でも結局は、いつもと同じ“座頭市シリーズ”であった。
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