座頭市と用心棒のレビュー・感想・評価
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大映と東宝の大スター対決に岡本喜八を注入したキメラ作
大映の看板シリーズだった「座頭市」の20作目は、なんと東宝が誇る「用心棒」との対決もの!って、三船敏郎はちょっとゲスト出演するくらいのつもりだったらしいが、気がつけばガッツリW主演状態。出で立ちやキャラはほぼ桑畑三十郎や椿三十郎と変わらない、設定とかを考えれば、一応は別人と考えたほうがよい。
正直いって、「座頭市」シリーズとしても、「用心棒」シリーズの系列としてもかなりの異色作だろう。岡本喜八の念頭にはジョン・ヒューストンの『黄金』があったようだが、金に目がくらんだ面々のみっともない奪い合いに座頭市も用心棒も参戦し、さらには岸田森演じる謎の浪人が3人目の主人公レベルで目立ちまくり、勢力図は入り組んでややこしい。
しかし、二大怪獣対決みたいな看板さえあれば、シリーズの伝統とかシランガナとばかりに枠をはみ出しまくる破天荒なパワーがあって、しかも撮影は天才・宮川一夫。娯楽映画ってこれくらいムチャクチャでいいですよね!とクビがもげるほど頷きたくなる快作にして怪作。
【座頭市の腰を低くし刀を腰の後ろに構える不動の居合スタイルと、用心棒の大剣で面を狙い、小剣で突きを狙う王道スタイルがぶつかる剣劇。若尾文子さんの美しさが華を添える作品。】
ー 勝新太郎と三船敏郎と言う当時の二大スターが夢の対決を果たした剣劇。-
◆感想
・座頭市シリーズは、一作位見ていたかと思ったが、鑑賞記録を観ると一切ない。けれど座頭市の腰を低くし刀を腰の後ろに構える不動のスタイルは、知っている。何故かなあ。
マア、年代的に生まれていないのだから、後年どこかで刷り込まれたのであろう。
・それにしても、勝新太郎と三船敏郎の剣を操るスピードには恐れ入る。VFXが無い時代だから、修練の賜物なのかな、と思う。
・物語もナカナカ凝っていて、ストーリー展開は読めるのだが(二人とも、大スターだから相打ちかなあ、と思っていたらそのとうりだった。)それでも面白いのである。
・この作品に華を添えているのは、矢張り梅乃を演じた若尾文子さんの、気の強い姿である。私が見た若尾文子さんの役柄は、皆気が強い女性である。
そして、大スターが死去しても若尾さんは現代でも存命である。
<今作が面白かったので、(と言うか、資料を見ると今作は座頭市シリーズ一のヒットだそうである。
だが、どーも座頭市シリーズの中にはもっと面白い作品がある気がする。
時間がある時に探してみようと、たった今、決断した。(大袈裟。)
それにしても、昭和の映画って令和の時代に観ると結構リアルに残虐なシーンが多い気がする。実際の事件も残虐なモノが有ったみたいだし・・。>
ライバル対決
スターの火花
最後の決闘シーンは気の抜けた演出で一杯食わされた感
「用心棒」、「椿三十郎」、「座頭市と用心棒」、「待ち伏せ」という「用心棒四部作」を半世紀ぶりにいっきに見直してみた。が公開当時に感じたと同様、この作品、二度と見たくないという感想であった。本作は座頭市シリーズ最大のヒットを記録したが、やはり「用心棒」の看板は観客を呼ぶには大きいものだった。対戦物は、ゴジラ、モスラ、エイリアン、プレデター等集客のための格好の企画であり、当時も、「座頭市と用心棒」という題名だけでときめいた思い出がある。しかし、この作品、看板倒れの凡作と言わざるを得ない。「椿三十郎」(1962年)の仲代達也並みに用心棒が斬られなければ座頭市シリーズのお約束が達成されない。この腑抜けたような決闘と結末では観客が納得しないのは当たり前で、脚本の段階から観客を騙しているとの誹りは免れえない。まさか、三船敏郎、「待ち伏せ」(1970年)が控えているから死ねなかったわけでもあるまい。この結末に至るまでのストーリー展開も平凡で115分は長すぎた。何よりも、用心棒がいつの間にか名前もあり士官してアル中の隠密になっているという設定がいただけないし、座頭市の汚らしい身なり風体も見るに堪えない。脚本・監督の岡本喜八のアイデアなのか、製作者勝新太郎のアイデアなのかは知らないが、第一作の「座頭市物語」(1962年)のような設定ではどうしてダメだったのだろうか。座頭市シリーズなのだから、マンネリを逆手にとって、天知茂の平手造酒を模しても何ら問題はないはずなのだ。観客が見たいのは、最後の決闘シーンなのであって、変にこねくり回したストーリー展開などは必要ないのだ。それなのに、最後の決闘シーンは気の抜けた演出で一杯食わされた感で腹立たたしい限りなのだ。名匠三隅研次が作った座頭市映画の世界観は19作目まではそれなりに維持されていたが、この20作目では勝プロ制作ということで力みすぎたのではあるまいか。救いは、若尾文子、嵐寛寿郎、寺田農らが見られることと伊福部昭の音楽を楽しめることくらいか。
相乗効果か?相殺か?
結果は勿論…
本家の重み
企画は大味ですが、構えは大作です 岡本喜八監督もそこを分かっての上、プロフェッショナルに娯楽作品を作り上げています
座頭市シリーズ、8年目、第20作
こりゃあおもしろい!
マジでエイリアンvsプレデター
いや考えてみれば
大映の座頭市 vs 東宝の用心棒
これ怪獣映画ならどうでしょう
ガメラ対ゴジラなんです!
どっちが主人公だかわかりゃしないほど三船敏郎がフューチャーされています
用心棒そのものです
見方かえると座頭市がゲストみたいです
その他に、若尾文子、嵐寛寿郎、滝沢修、岸田森
、細川俊之、米倉斉加年、神山繁、寺田農、常田富士男
とまあ大変に豪華主演です
まあ若尾文子は使い方良くなかったです
彼女を活かす脚本なら凄いことになったとは思います
カメラは用心棒を撮った宮川一夫
その時は白黒、本作はカラーです
用心棒がカラー作品だったなら?という妄想に応えてくれる映像をとっています
音楽は伊福部昭
印象にのこる旋律はないものの劇伴としては映像に大変マッチしています
勝新太郎の座頭市は第一作みたいに坊主頭に青々と剃りまで入れて気合いはいってます
お話は座頭市第一作と用心棒をかき混ぜて、ちょいと調味料を振ったような感じ
企画は大味ですが、構えは大作です
岡本喜八監督もそこを分かっての上、プロフェッショナルに娯楽作品を作り上げています
うっすらと岡本喜八監督らしい喜劇の味つけをしているのがミソ
あんまり真面目に観ちゃあ駄目ですよ、旦那って聞こえてきそうな作品です
それでも終盤の九頭竜との闘いは見ものです
お気楽に肩肘張らずに見ましょう
ラストシーンは、何かに似てるとやっとこさ思いだしたら、これジョン・ヒューストン監督の「黄金」のオマージュでした
そのまんまやん!
映画の歴史には残らないし、意義なんてものもないけど、おもしろい映画は有るんです!
本作はそれを教えてくれます
黒澤明監督もこの時期は巨匠に祭り上げられすぎました
こんな娯楽作品を作って息抜きしても良かったのだと思います
その方が70年代にもっと活躍できたのではないでしょうか?
下の上
黒澤明の用心棒と椿三十郎は上の上。
これは下の上。
意外と面白かった・・・というのが素直な感想です。
この作品の存在はず~っと前から知っていました。
これ、レンタル屋さんにないんですよね。マイナーすぎて。
かと言って買うのもなぁ・・・喜八作品は駄作も多いし・・・ってんでなが~い間、気にはなっていたものの見れずじまいで。
それが最近になって行きつけのビデオ1さんがゲットしてくれただないですか!
即、レンタルしました。
これは、喜八の一流作品でではないです。
”斬る”
より下です。
でも、十分に楽しめる、ファンには宝物となり得る作品だと思います。”斬る” と以上に黒澤作品のおもっきり出来の悪いイミテーションだということを初めから知ってさえいれば・・・。
そして、この映画で光るのはやはり三船敏郎。
主役の勝新太郎を完全に食っています。
『座頭市対用心棒』とか『キングコング対ゴジラ』とか、邦画でまたこういう豪華贅沢な映画を見たい!
シリーズ20作目。1970年の作品。
勝新=座頭市と三船敏郎=用心棒が激突!
厳密に言えば、本作での三船は黒澤作品で演じた用心棒=三十郎とは全くの別人なのだが、誰がどう見たって用心棒である。
二人の初対面シーン、挑発、やり取り、待ってました!の対決シーン!
座頭市は大映、用心棒は東宝なので、さながら“大映ガメラ対東宝ゴジラ”を見ているよう。
三船敏郎のゲスト出演が話題だが、その他も実は豪華。
監督/脚本はシリーズ初登板の岡本喜八。しっかりツボを抑えた作り。
撮影は宮川一夫、音楽は伊福部昭とシリーズ常連組。
三船以外の出演者も、若尾文子、岸田森、米倉斉加年、寺田農、神山繁、滝沢修、嵐寛寿郎…。
記念すべき20作目を飾るに相応しい“デラックス版”!
おおまかなストーリーは、敵対するやくざ一味にいる市と用心棒が出会って男惚れ。挑発し合いながらも暗黙の内に協力し合って、敵対するやくざ一味を共倒れさせる。
そして最後は市と用心棒の一騎打ちになるのだが、予想通り引き分け。
対決と言うより、“共演”か“似た者同士”かも…?
アクション、ユーモラスな人物描写、エゴ剥き出しの悪党どもや市たちのドラマ…。
岡本喜八だけあって娯楽性を詰め込み、話もそれなりに面白味はあるのだが、別に相手が用心棒でなくとも成り立つ話であり、ストーリー的には至っていつもの“THE座頭市”。
本当に“座頭市対用心棒”で支えられていた気がする。
一捻り二捻り、ユニークな味付けが欲しかったが、こういう贅沢な企画はなかなかあるもんじゃないので、理屈抜きに楽しむべき。
その為に企画された作品でもあるだろう。
邦画でこういう思い切った贅沢企画が無い。
“○○対○○、夢の対決!”のような豪華贅沢な企画がたまにあってもイイ気がする。
追記
最近、ハリウッドで『ゴジラvsコング』があったばかり。
やっぱりこういうのって、楽しいよね♪
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