「大映と東宝の大スター対決に岡本喜八を注入したキメラ作」座頭市と用心棒 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
大映と東宝の大スター対決に岡本喜八を注入したキメラ作
大映の看板シリーズだった「座頭市」の20作目は、なんと東宝が誇る「用心棒」との対決もの!って、三船敏郎はちょっとゲスト出演するくらいのつもりだったらしいが、気がつけばガッツリW主演状態。出で立ちやキャラはほぼ桑畑三十郎や椿三十郎と変わらない、設定とかを考えれば、一応は別人と考えたほうがよい。
正直いって、「座頭市」シリーズとしても、「用心棒」シリーズの系列としてもかなりの異色作だろう。岡本喜八の念頭にはジョン・ヒューストンの『黄金』があったようだが、金に目がくらんだ面々のみっともない奪い合いに座頭市も用心棒も参戦し、さらには岸田森演じる謎の浪人が3人目の主人公レベルで目立ちまくり、勢力図は入り組んでややこしい。
しかし、二大怪獣対決みたいな看板さえあれば、シリーズの伝統とかシランガナとばかりに枠をはみ出しまくる破天荒なパワーがあって、しかも撮影は天才・宮川一夫。娯楽映画ってこれくらいムチャクチャでいいですよね!とクビがもげるほど頷きたくなる快作にして怪作。
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