座頭市血煙り街道のレビュー・感想・評価
全8件を表示
次から次へと出てくる豪華な面々。ラスボスの存在感も良い。決闘の結末...
次から次へと出てくる豪華な面々。ラスボスの存在感も良い。決闘の結末もまた良し。飽きそうで飽きない座頭市シリーズ、面白いです。 BS12
雪の中の決闘シーンに痺れた
シリーズ物として、大まかなストーリー展開はお決まりなのだが、殺陣の迫力がハンパない。 「動と静」の間が絶妙で、どのシーンにおいても緊張感が途切れない。 また、途中で段差を踏み外して転ぶなど盲目のハンデを、殺陣の中で大切に描いているところも、座頭市シリーズならではの見どころ。 雪の中の決闘シーンがとにかく痺れた。 闘わなくてはいけなくなった理由。 座頭市の覚悟。 ついには、自分自身の存在そのもので相手に対峙する座頭市を、そこでの立ち姿と表情で完璧に表現しきる勝新太郎の凄みに鳥肌がたった。 座頭市の人間性にも心惹かれた本作。 BS12で鑑賞。次回も楽しみ。
ブラインド・フューリー
後にルトガー・ハウアーが主演した『ブラインド・フューリー』は本作のリメイク。三隅監督では4作目になるが、『子連れ狼』シリーズも撮っているので子どもを登場させるのがうまい。ようやく座頭市のスタイルを確立したのであろうか、冒頭ではテーマ曲とも言える勝新太郎の歌が聞ける。おまけに中尾ミエの歌まで楽しめるのだ・・・
旅芸人一座のともゑ太夫(朝岡雪路)は前原塾を万造一家が仕切っていることを知り愕然とする。赤塚(近衛)に難儀を救われ、毎年興行に呼ばれていた箕輪の惣兵衛に頼る。と、ストーリー的にはここまでの旅芸人。惣兵衛が殺され、市たちとは別れることになった。
庄吉は前原の権造(小池朝雄)によって御禁制の金粉、銀粉を使った焼き物の下絵を描かされていた。設定としてはかなり珍しいもの。絵も春画のような艶っぽいもので、これらは権造と代官たちが裕福な大名たちに売りつけ儲けようと企んだものだったのだ(前田の殿様なら五千両出すといったところも面白い)。それを公儀の隠密たる赤塚たちが消し去ろうとしていたわけだ。庄吉を逃したものの赤塚は彼をも斬ろうとしたことで、市との対決となる・・・いつもと違い、かなり長い殺陣。刺されて負けた赤塚の去り際もかっこいい。
親子の対面を果たしたものの、子どもはすっかり市になついてしまい、父親の庄吉の立場がない(笑)。子どもが出来ていたことすら知らなかったんだから、しょうがないか・・・
ブラインド・ティア
シリーズ17作目。1967年の作品。
旅先である母子と相部屋になった市。母親は重い病で、今際の際に子供を前原に居る父親・庄吉の元に連れて行って欲しいと頼まれる。
ぶつくさ文句言いながらも何だかんだ子供好きの市。旅芸人一座らと一緒になって、旅を続ける。
道中、度々出くわす謎の侍。この男は何者…?
目的地に着き、庄吉を知る人物から話を聞くと、庄吉は絵描きの才能を土地のやくざに利用され、囚われの身になっているという。
子供の為に救出しようとする市の前に、あの侍がまた現れる…。
前作が重く暗くなり過ぎたせいか、本作は“THE座頭市”な娯楽作。
かと言って、話も決しておざなりになっていない。寧ろ、分かり易い。
一言で言えば、『~血笑旅』のような“子連れ市”。あちらでは赤ん坊だったが、こちらではかなりのわんぱく小僧。市も手を焼かさせるが、交流が感動させる。また、あちらの父親は会って落胆のクソ外道だったが、こちらは真面目な堅気人で救われる。
監督はお馴染み三隅研次。今作でも手腕が冴え、やはりこの名職人が手掛けた“座頭市”は格別!
尚、後に本作をベースにルトガー・ハウアー主演で『ブラインド・フューリー』が作られたのは有名な話。
クライマックスはシリーズ屈指とも言える立ち回りシーン。
悪徳やくざたちを斬り捨て、無事庄吉を救い出した市の前にあの侍が現れる。
名は多十郎で、正体は隠密。任務はやくざの悪事を全て“消す”事であった。つまり、関わった庄吉も…。
演じるは、勝新の大先輩で剣豪スター、松方弘樹の父親である近衛十四郎。
序盤から作品を締める存在感を発揮。
クライマックス、雪がしんしんと降る中、対峙。
片や堅気の人物の為に。
片や任務の為に。
それぞれの正義。
が、
慈悲を乞う市に無情に耳を貸さぬ多十郎。その姿は悪徳やくざよりも恐ろしい。
「侍なんて勝手なもんだ」と、市。
「許さんぞ」と、多十郎。
お互い、刃に手を掛け…。
市vs多十郎の立ち回りは、勝新と近衛が段取りナシに、二人だけの即興によるものだという。
まさに本物の、緊迫の真剣勝負!
必見!
決着も良かった。
いつものどちらかが斬られ、倒れるとは違う。
素手の相手の反撃に、負けた。
そして、ラストシーン。
自分を呼ぶ子供の声に、市は涙した。
これぞ殺陣!殺陣を見よ!殺陣だ!
ううむ。本作は殺陣が凄い。これぞ殺陣。必見。 何と言っても、見せ場はラストの近衛十四郎との対決。 殺陣と思えないほどの真剣勝負。 いやマジで、段取りを1つ間違えれば大事故もありえますよこれは。 両者とも腰が入っており、かつ、とても近い距離で、かつ、動きもある。 カメラワークも素晴らしい。 迫力のある殺陣でした。 しかもそれだけではなく、その戦いのラストが最高。 刀は武士の魂。 子連れ狼なんかでは、若山富三郎なんかがよく刀を投げて相手を倒しますが、実はこれは武士道では邪道。 市は、武士ではないのですが、刀を投げることはありませんでした。 圧倒的な強さであるが故に、刀を投げるまでもなく相手を倒していたからだとも言えます。 しかし、本作のラストで、遂に市は刀(武士の魂)を投げます。 そして「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉を体現します。 それを見た近衛十四郎演じる赤塚多十郎(敵役)は、その市の態度を見て一言。 「わしの負けだ。市。」 と言い残して去っていきます。 2人の武士が目と目で分かり合う。とは言え、座頭市は目が見えない。でも分かり合うんだよ。心と心で分かり合うとはこのことか。この演出を入れてきて、かつ、画にしてしまう凄さ。 その芝居を完璧に演じきる勝新太郎と近衛十四郎。 うーん。 さすが三隅監督。 わかってるねぇ。。。泣 待ってました!の三隅研次版の座頭市でした。
全8件を表示