座頭市鉄火旅のレビュー・感想・評価
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若い頃の水前寺清子。演技力はそれほどでもないが、「いっぽんどっこの唄」の歌がかなりいい。
鉄火場でイカサマの裏をかいて稼いだあと、うどんの屋台で知り合った鍛冶屋の仙造(東野英治郎)に仕込み刀を見てもらうと、その刀を作った下野の刀鍛冶の弟子だという。今まで、何人も斬ってきたおかげで寿命が近づいていて、あと一人斬ったら折れてしまうと教えられた。大切な仕込みを仙造に預け、堅気の道を歩むことを決心する座頭市・・・
仙造の紹介で旅籠の下野屋であんまとして働くことになった市。そこの娘お志津(藤村)は死んだ庄太郎の娘だったのだ。ところが、仙造、お志津本人から、実はお志津は仙造の娘であることを聞かされた市。お志津は義理の弟・清吉(青山)を庄太郎の跡目を取らせたいあまり、市に相談にきたのだ。清吉はヤクザ稼業に興味はない。この跡目相続は岩五郎も煙たがってたことから、お志津は桑山に奉公に出され、清吉は暗殺される・・・
この緊急事態、市はお志津を呼び戻すべく桑山のもとへ向かおうとするのだが、仙造は一家に殺され、彼が20年ぶりに作った刀も盗まれてしまう。市は寿命のきた自分の仕込みを持って出かけるのだった。
ストーリーはさほどでもないが、シーンそれぞれがしっかり出来ている作品。全体的に怒りに満ちた勝新太郎。藤田まことも要所要所で笑わせてくれた。
市と刀
シリーズ15作目。1967年の作品。
烏が不吉に鳴く下、足利に帰途中何者かに斬られ無念にも息絶えた男を看取った後、偶然目的地が一緒の陽気な旅芸人一座と共に、市は足利へ。
町は横暴なやくざが幅を利かせ、早速市はいかさま博打で大金をせしめる。
屋台で一緒になった老人と意気投合。そこへやくざ共が襲撃するが、いつも通り仕込み刀で瞬殺。
すると老人が刀をよく見せて欲しいと、自分の家へ招く。
その老人・仙造は元鍛冶職人で、何と市の刀は仙造の師が造った名刀。
しかし刀はすでに限界で、後一人斬れば折れるという。
折れるまで斬るか、それとも…。
市は刀を置く。
仙造の薦めもあり、堅気になる事も決意する…。
前半がいつもと違って面白い。
初めて仕込み刀にフィーチャー。バッサバッサ悪人共を斬りまくってきたが、無敵の武器なんてある訳ない。寿命はある。
苦楽を共にし、危機を乗り越え、コイツに何度も命を救われた。
市と刀の関係にしんみりさせられた。
宿場で得意の按磨として働く市。
男勝りのお志津が切り盛りする。
奇遇にもお志津は、市が道中看取った男の養女。さらに驚く事に、お志津の実父は仙造。
お志津は知らず、仙造は名乗り出ず、一筋縄ではいかない訳ありの人間関係。
やくざと見廻り役がやりたい放題。
見廻り役がお志津に色目を使い、仙造に名刀を造らせようとする。
やくざはお志津を拉致し、お志津の弟を殺し、仙造までも…。
仙造の家で預かってくれていた刀を手にする。後一人斬れば折れる。
が、その刀は…。
東野英治郎がさすがの名演。
藤村志保が凛とした美しさとしおらしさ。
チョイゲストでは、旅芸人の水前寺清子が歌声をサービスし、藤田まことがコミカル・シーンを請け負う。
クライマックス、樽の中に入れられグルグル回されるも、「回る目がねぇ!」と啖呵を切って、悪党どもを斬り捨てる大殺陣がハイライト。
後半はいつもの座頭市映画となるが、個人的には市と“相棒”の物語であった。
仙造が研ぎ、再び命を繋いだ“相棒”と共に、堅気になれぬ男の旅は続く。
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