「お天道様の下を歩く市」座頭市二段斬り 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
お天道様の下を歩く市
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シリーズ10作目。1965年の作品。
道中市は、按摩の師匠に会いに行こうとする。が、師は殺され、その娘は女郎場に売られていた。黒幕である悪玉やくざの親分と郡代によって町民も苦しめられ…。
本作も“THE座頭市”というくらい定番王道ストーリー。
それだったら平凡過ぎた前作と変わらない気もするが、大きな違いが。
市の大事な人が殺され、苦しめられている。
許せぬ畜生を斬る!
痛快!スカッと!
物語や市の動向にメリハリが付いた。
ドラマ部分も悪くない。
市はひょんな事から、賭博場の用心棒父娘と交流を持つ。
うだつが上がらず、何処か憎めない父。
しっかり者の娘。
ある時賭博で大金を市に取られ、その責任として、父は失職。代わりに娘はこのまま置いて貰えるも、後何年かすれば女郎場に…。
許して貰うには、市の仕込み杖を手に入れる事。
そんな事、出来る訳ない。
それを聞いていた娘は…。
そして、全てを知って市が父に掛けた言葉は…。
三木のり平がコミカルに好演。勝新とのやり取りも絶妙。按摩中、
「旦那、この腕はお天道様の下を真っ当に歩けませんね」
「按摩さん、あんた、針もやってんのかい? ちくちく刺すから」
その娘役に、小林幸子! 歌声も披露。
市と敵対する用心棒に、加藤武。思わせ振りに挑発するも、あっさりやられてしまったけど…。
いつもは重厚な伊福部昭の音楽だが、フラメンコ・ギターをメインにした珍しい感じ。
よって、全体的にも終わり方も西部劇調。
記念すべき10作目を狙ったのかどうかは分からないが、個人的には上々。
市は言う。俺ら稼業はお天道様の下を真っ当に歩けない、と。
しかし本作に限らず、市は時折お天道様のご来光に当たれる行いを。
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