座頭市血笑旅のレビュー・感想・評価
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人情話の佳作
自分の身代わりに亡くなった母親が守った赤ん坊を、父親のもとまで届ける座頭市。
簡単にいうと、これだけのストーリーなのだが、自分の立場をわきまえながら、不義や不正は許さない市の生き方のぶれない芯が鮮明に表現され、観る者の心に訴えてくる。
「子どもに恥ずかしくない生き方」を努めて行おうとする市だが、葛藤も描かれていて、その人間くささにも惹かれる。
三隅研次監督作品は3本目の鑑賞だが、やっぱり画面の絵づくりが見事。
今作には、殺陣のシーンの派手さはないが、他作にはない束の間の幸福感や、別れの切なさなど、登場人物たちの内面によりスポットがあたり、見ごたえは充分。座頭市のシリーズということを外して、単独の映画作品としてみても、人情話の佳作だと思う。
BS12にて鑑賞。
盲が通ります
2024年3月13日
映画 #座頭市 血笑旅 (1964年)鑑賞
誤って自分の代わりに殺された母親が残した乳呑み児を父親の元に届ける座頭の市のロードムービー
女スリ役の #高千穂ひづる さんが好演
キリッとした美人です
座頭市が無垢な赤ん坊と一緒にいるところがいいですね。
時代的にメクラ連発してます
ひょんなことから赤ん坊と旅をすることになった座頭市。面白い設定。手...
ひょんなことから赤ん坊と旅をすることになった座頭市。面白い設定。手癖の悪い女房もどきも良かった。そしてラストは燃える🔥座頭市。悪党たちが弱すぎて笑う。
BS12
赤ん坊
冒頭はめくらの団体。座頭市を追う5人組から市を隠す。その後も二度再会するが、なかなかいいポイント。
赤ん坊を父親の元に届ける旅をする市。スリのお香(高千穂)と出会ったことから道中ともにし、彼女を雇う。次第に母性に目覚めるお香が色っぽい。おっぱいを与えてくれればもっとよかったのに・・・おっぱいを吸わせたのは市だった(笑)。
父親は輿入れ間近のヤクザ者だった。借金のカタに女房に奉公させていたのだ。それでも素直に引き取ってくれればそのまま赤子を返しただろうに、自分の子ではないと言い張る親分だったのだ。自分で赤子を育て上げようと心に決めた市だったが、亡くなったおとよを供養してもらった際、和尚(加藤嘉)が「お前さん一人じゃ育てることはできない」と諌められる。そんな折、5人組の残党と父親の親分たちが襲いかかるが、市の弱点を知っていた悪党どもは松明を使い、炎攻めで周りを囲むのだ。それでも敵を倒し、本当の父親を許す市であった。
似たような話は結構あるが、もしやこの座頭市が原点なのか?とも思わせる人情ストーリー。ホロリときてしまうが、もうちょっと高千穂ひづるを見たかった・・・
おしめぐらいゆっくりさせておくんなさいや
幸せを失って心に穴が開いてしまったようなラストが胸をしめつける。座頭市のいいところが詰まった作品。おしめかえまくり人斬りまくりの赤子を連れての旅。スリのお香を斬る為に追ってきたサムライを話術と剣術でまるく収める市。おしめをかえながら博打する市。寝不足だからと商売女に赤ちゃん預けて一人で寝ようとするもやっぱり赤ちゃんが気になって寝れない市。名シーンばっかり。
後半、お香が改心して真面目になるよといって擬似家族みたいになったのも良かった。
他の誰よりも愛している赤ん坊の幸せを願って、最後は和尚に育ててもらうという選択をするのだけど本当に凄く寂しそうで泣けた。
一般向けのベスト座頭市
名作。凄く良かった。映画として面白い。勝新太郎ファン以外でも、楽しめる一作だと思う。スプラッター演出は一切ないのでご安心を。勝新版の座頭市を初めて見るなら、本作が良いかもしれないなぁ。泣ける・・・かもしれません笑。
座頭市と赤ん坊のロードムービー。北野武の「菊次郎の夏」って、これを元にしてるのでは?似たような物語です。
座頭市と言えば、神のような無敵の勝新、というイメージですが・・・本作はそうではない。とても人間ぽい。座頭市が人間的な弱みを見せたのは、本作が初めてなのでは?
僕は三隅研次監督を誤解していたよ。この人、全然スプラッターなキワモノ監督ではない。正統派な静かな時代劇の名手だと思う。
その証拠に、本作には殺陣での見せ場はない。会話による駆け引き(クレバーな座頭市)におけるギャグ、というか人間ドラマが見せ場。
観終わった後で幸せな気持ちになれる(そんな座頭市があったとはw)。
劇場版の座頭市シリーズは、毛色の違う製作者が上手くローテーションされてるから良かったのかもしれないね。各作品で力の入れどころが違う。毎回正統派時代劇でも飽きるし、キワモノ映画一辺倒でも長続きしない。色んな色を見せておいて、たまーに、三隅監督の正統派時代劇が来る、というのが良いのかも。
シリーズものを長生きさせるコツかもしれない。
子連れ市
シリーズ8作目。1964年の作品。
全26作ある座頭市シリーズ。当り外れあるのは当然。
本作はシリーズの中でも出色。
数人組の刺客に狙われている市。間違いから自分の身代わりに赤子を抱いた若い母親が殺された。責任を感じた市は赤子を父親の元へ届けようとする…。
何と言ってもキーは、赤ん坊。
次第に情が沸き、自分が育てるとまで強く思う市。
ひょんな事から同行する事になった女スリも自分の人生を考え直す。
堅気じゃない世界で生きてきた者が赤ん坊への愛情によって感化されていく姿がなかなか感動させる。
座頭市の話と行ったら基本、ふらりとある宿場に流れ着き、その町を牛耳るヤクザ一味とその用心棒を倒し、またふらりと去って行くアウトロー物だが、本作のような人情話もいい。
刺客相手の居合切りは勿論、定番の博打も。
辿り着いた赤子の父親というのが…。
世の畜生共へ、市が一喝する。
一作目以来となる三隅研次の演出は快調、伊福部昭の音楽も格調高く。
印象的だったのはラストシーン。
旅先で度々出会った仲良くなった盲集団と擦れ違うも、背を向ける。
もし、自分が盲でなかったら…? 流れ者でなかったら…? 赤ん坊を…。
市が初めて自分の境遇を否定した…というのは深読みし過ぎだろうか。
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