劇場公開日 1962年4月18日

「子沢山ボクロってあるんですね」座頭市物語 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子沢山ボクロってあるんですね

2024年7月17日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1962年の大映作品。巨匠三隅研次監督の出世作。音楽は伊福部昭。座頭市シリーズの第一作。
客人は天知茂。
下総は飯岡の助五郎親分を訪ねる市。賭場の客を取り合う地元ヤクザの笹川一家の呑兵衛のハンサムなイケメン用心棒(浪人)の名前は平手酒造(ひらてみき)。
テレビドラマシリーズの探偵役の印象しかないもので、誰だか全然分からなかった。市と懇意になり、労咳をおして、出入りに加担する平手。一種のボーイズラブ的ストーリー。それだけ勝新太郎という男は魅力的ということ。

助五郎から市の面倒をみろと命令された子分の蓼吉(南道郎)。今でいうとその妹のおたね(万代昌代)は蓼吉の兄貴分の妻なのだが、別居中で実父の居酒屋を手伝っている。ヒロインとは言っても、ヒロインがヒロインらしく扱われないことが多い渋〜いシリーズ。オレがまだオムツしてた頃にこんなエキゾチックな美人がいたなんて、許せない😎
蓼吉はおさきという女を孕ませ、殺害し池に遺棄。ちょっとのすきに出ていってやった犯行をみてもいないのに蓼吉の様子を嗅ぎ取っていた。
ラスト。笹川一家に勝ち、祝宴をあげる助五郎。あの名台詞の原点が。市にヤクザ道をけなされ、馬鹿にされた親分に差し向けられたのか?おさき殺しでゆすられたかどうかは知らないが、背後からたった一人で市を狙い、街道か転げ落ち田んぼに沈む蓼吉。平手への見舞いに市から上酒三合の使いを頼まれてたのに、二級酒2合半に中身を変えて駄賃をネコババしたクズ男の蓼吉。
「どうせ、ろくな奴じゃねぇだろう」と吐き捨て、裏の山道を行き、市に惚れ、一生市の杖になって苦労すると街道で市を待つおたねを撒いて裏街道を去ってゆく市。
その後子連れ狼シリーズも監督する三隅研次の無頼のニヒリズム。
盲なのに、盲だからこそ、人を見る目があり、人の足元を見る目もある座頭市シリーズの記念すべき第一作。日本映画史に残る珠玉の一本と言っても過言ではない。
お色気場面はほとんどなし😎

カールⅢ世