劇場公開日 2017年1月28日

「煌めきの中に漂う危うさ」ゴンドラ(1987) SHさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5煌めきの中に漂う危うさ

2021年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

その時代の古さがしっかりと出ているのに、スタンダードの映像が非常に美しくて、映画特有の普遍性を強く感じた作品。
明瞭な映像の中に挟み込まれてくる、生の危うさ、危うい性…。決してよい内容でもよい演出でもないけれど、ぎこちなくて不自然な関わり合いが、目を離すことができないような緊張感を生み出しているような印象。
東京の風景、東北・靑森・下北半島の風景、その描写がことごとく見事なものだが、それに反して登場してくる人々の描かれ方は決して美しくも気持ち良いものでもない。人間臭いところが丸出しになっているように見えるのだが、不思議と嫌悪感はなくて、むしろ愛おしく思えてくる。
どろどろとした中で光輝くピュアなもの─その輝きはあまりにまぶしくて、まぶしすぎるが故に、すぐに消えてしまいそうな刹那…。短いスパンで考えれば幸福感を強く感じるけれど、長いスパンで感がると悲劇的な思いになってしまう。

SH