「「昭和59年公開・平成シリーズの先駆けとなる復活ゴジラにして初ゴジ以来の単体出演ゴジラ」」ゴジラ 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
「昭和59年公開・平成シリーズの先駆けとなる復活ゴジラにして初ゴジ以来の単体出演ゴジラ」
★独自採点(74):3代目。昭和ゴジラから9年、待望の復活ゴジラ。市街地ミニチュアセットスケール1/40(超高層ビル群は1/50スケール)
昭和59年作だがそれまでの2代目昭和ゴジラはリセットし初代ゴジラ以降二匹目としての再登場、原点回帰の世界観で作られ平成ゴジラシリーズの入り口としての位置付けられた。かつ「日本沈没」以降の東宝特撮パニック映画の流れとしてリアリティを持った設定の怪獣映画として再生された。
制作田中友幸、監督橋本幸治、特技中野昭慶、音楽小六禮次郎、造形安丸信行
通称:84ゴジ/新ゴジ/復活ゴジ(身長80m)・登場怪獣:なし(ショッキラス)・防衛:自衛隊=自衛隊統合幕僚会議議長役・陸自ヘリ(ノンクレジット)「ゴジラ非常緊急対策本部」・1984年(昭和59年)12月15日・103分・上陸地(静岡井浜原発・東京湾)・破壊地(井浜原発・有楽町マリオン・新宿)・特撮爆破炎上破壊規模B(爆破の中野作品としては少々炎上が物足りない)
当時はインターネットなんて無い時代でもうゴジラは過去の物っていう感じだった中「なんかゴジラ 復活するらしい?」って嘘か本当かわからん状態からの復活は正直感動だった。
そして、蓋を開けたゴジラは子供向け路線から本来の”怖い”ゴジラ への回帰でこれは涙もの。まあ、いま見れば色々アラもあるしその後のゴジラ から比べれば比較にはならないかもしれないが、消えそうになっては復活を遂げてきたゴジラの中で作品の出来如何よりも重要な作品だ。
ゴジラ復活を願っていた当時のスタッフやファンのエネルギーなくしては公開できなかったであろうし、この作品以降の原点回帰の「怖いゴジラ」の存在がなければ現在のゴジラが存在していなかったかもしれない。そして1984から1995までの11年間に築いたゴジラの歴史は確実に子供向けの怪獣ではない現在のゴジラの道筋を作ったのは間違いない。特別スタッフとして田原総一郎氏の名前があるのも興味深い
特技監督:中野昭慶も円谷精神を継承し特撮の面白さは十分、新宿のミニチュアセットでの激闘などの見所もあるし、ゴジラの造形は昭和と平成の中間くらいだが怖いゴジラに仕上がっていてこの後の平成ゴジラシリーズへ続く重要なターニングポイントだったと思う。
観客動員300万人超え、興行収入は1995年2位の大ヒットとなり以後の平成シリーズへ見事に引き継がれた作品。
スーツは2体(造形:安丸信行)で井浜原発・東京湾上陸シーンは1号、首都新宿・東京湾から有楽町侵攻などは2号スーツが使用されてる、また顔のアップ等はサイボット(全高4.8m1/20スケール)が採用されてる、また足指の数が初代および逆ゴジと同じ4本に変更された。
特撮、突如井浜原発に現れたゴジラの全景は中々迫力があった、昭和ゴジラのオマージュか新幹線を鷲掴み
新宿高層ビル群の破壊が見どころ、破壊炎上具合は平成シリーズより少ない。ラストは超音波装置に誘導され三原山火口へ咆哮を上げながら落下する。
時代背景:ロサンゼルスオリンピック、米Apple ComputerがMacintoshを発表、日経平均が初めて1万を超え地価急上昇バブルに麻痺していた、日劇跡地に有楽町マリオンがオープン、(VTR)の普及率 はまだ18.7%、大河ドラマ「山河燃ゆ」、グリコ・森永事件、ドラマ「スクールウォーズ」に代表される様に暴走族や校内暴力が酷い世の中だが、地方のデパートはどこも人が溢れ活気はあった。84デビュー菊池桃子、沢口靖子も第1回「東宝シンデレラ」でグランプリに輝きこのゴジラに出演日本アカデミー賞新人賞を受賞している。