「ヒーローゴジラ路線の始まりにして異色作」ゴジラ対ヘドラ あんみつKさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒーローゴジラ路線の始まりにして異色作
『ゴジラ:キングオブモンスターズ』のマイケル・ドハティ監督は、かつてこのサイトでのインタビューにて、こう語っている。
【……何にだって、どんな映画にだって、ゴジラを加えればより良くなると僕は思っている。】
実際、ゴジラ映画は
「何かしらのジャンルに、ゴジラを加えて面白くしたもの」
という体裁の作品が多い。『キングコング対ゴジラ』はサラリーマン喜劇にゴジラ(とコング)を加えたものだし、『ファイナルウォーズ』は、北村龍平監督お得意の中二病アクションに、ゴジラ(その他怪獣たくさん)を加えた欲張りセットな映画だった。
で……。
この『ゴジラ対ヘドラ』は、ATG(日本アート・シアター・ギルド)映画にゴジラを加えてより良くした作品といえる。冒頭のクレジットから禍々しいイメージが溢れ、その後も要所要所で、リアクションに困る奇抜な画作りが飛び出す。変な意味で全編気が抜けない。ゴジラじゃなかったら商業ベース作品として成立しないし、こんにちまで存在感を維持できてもいなかったろう。
それにしても、環境破壊による公害で生み出された怪獣ヘドラと、水爆実験で生まれたゴジラ。人間の愚行を元凶とする怪獣同士のタイマン勝負とは、どんな皮肉よりもエスプリが利いている。そんなところもATG映画みたいな強い苦味を感じさせる怪作だ。
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