「カギっ子奮闘す」ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
カギっ子奮闘す
ゴジラシリーズ第10作。
DVDで3回目の鑑賞。
“特撮の神様”円谷英二の名前がクレジットされた最後のゴジラ映画。撮影には参加しておらず、その肩書はこれまでの仕事ぶりへの敬意を籠めて、特技監修となっていました。
前作でシリーズを終了することになっていましたが、予想外にヒットしたことで本作が急遽製作されることになりました。低予算だったために、殆どの特撮シーンは「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」、「怪獣総進撃」からの流用。ところどころに、ゴロザウルスのソロショットなど小さな新撮部分がある程度…。
まさかまさかの本編・特撮一班体制だったそうな…。ゴジラ親子対ガバラの戦いは本多猪四郎監督が手掛けました。だからなのか、これまでと少々毛色の違うユーモラスな戦いになっている気がしました。ゴジラの背負い投げカッケ~!
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本作の世界観は、ゴジラがスクリーンの向こう側の存在―つまり、私たちの住む世界と同じである、と云うことが特徴。作風もファンタジー色が濃い目となっていて、シリーズでも番外編的な扱いをされることが多いです。特撮シーンの殆どが流用なのは、主人公の一郎くんが映画館で観た場面を夢に見ている、と云うことで納得出来るかもしれませんなぁ…。
カギっ子でいじめられっ子の一郎くんが、夢の中で訪れた怪獣島でミニラと友達になって、ガキ大将怪獣ガバラに立ち向かっていく姿を見て勇気をもらい、たくましく成長していく姿を温かい目線で描いていました。とてもハートフルで、今の年齢になって観ても「いいなぁ…」と思えました。
今ではあまり見られなくなったご近所との交流…。なんとも懐かしい感じがしました。隣近所の人に留守を任せられたり、自分の子供の面倒を頼めたり…。今では考えられない。いい時代だったんだなと感慨深いものがありました。
天本英世が一郎と同じアパートに住む心優しいおじさんを好演。おもちゃ職人で、一郎くんの“ちびっこコンピュータ”にも理解を示してくれているようでした。普通の人の役なんて、めちゃくちゃ珍しいんじゃないかしら?(笑)
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特撮的な迫力に欠ける分、良質な子供向け映画の魅力に溢れているなと思いました。本多監督の子供への真摯な眼差しのようなものを感じ、心が洗われていくようでした…。
※鑑賞記録
2020/10/17:Blu-ray
2021/04/23:Amazonプライム・ビデオ