「やはり初代は怖い、そして凄い!帝都炎上も破壊も別格のワールドスケール。」ゴジラ(1954) 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
やはり初代は怖い、そして凄い!帝都炎上も破壊も別格のワールドスケール。
★独自採点(100):言わずと知れた初代ゴジラ!当時としては異例の制作費(『7人の侍』に次ぐ)をかけ誕生した。昭和ゴジラで唯一ゴジラ単体のみ出演の作品。市街地ミニチュアセットスケール1/ 25(国会議事堂シーンはゴジラの大きさを強調するため1/33)
通称:初ゴジ(身長50m)・登場(ゴジラ以外)怪獣:無し・防衛:防衛隊/海上保安庁(冒頭賛助クレジット)・97分(内特撮シーン及び対戦時間約40分)・上陸地(1回目大戸島・2回目品川埠頭=海中に現れその後陸地・3回目芝浦=海中から上陸)・破壊地(品川、新橋・有楽町、銀座和光・松坂屋、永田町国会議事堂、平河町、勝鬨橋等)・特撮爆破炎上破壊規模S(帝都炎上の炎がリアルすぎるほど凄い)
戦後間もない都心を破壊し尽くす様は当時本物と間違えられたのも頷ける、有名な和光ビルや銀座の松坂屋はゴジラに破壊された事に腹を立て以後長らく出禁となったのは有名だ。当時はゴジラという存在がいない中、役者陣は架空の怪獣を想定しながらの演技で見事としか言いようが無い、タイトルロゴの「ゴジラ」・ゴジラの咆哮・伊福部昭のゴジラのテーマもだが「ゴジラ」というネーミングも凄い(元ネタは東宝演劇部にゴリラとクジラを合わせたようなおっさんがいて、そのあだ名がグジラだったというから笑える、英語表記でGodzillaにはGODの意味も)、原型の明確なデザインは明らかでは無いが美術・造形班渡辺明中心に利光貞三が造形、ティラノサウルスのイメージから動物では無い怪獣のスタイルとして背びれをつけ、体表は原作者(香山滋)などの意見も取り入れ、利光が梅干しの種からヒントを得た(特技監督助手浅井正勝曰く、阿部和助は参考程度、利光が当時好きだったコーヒーウイスキーから閃いたキノコ雲の様なイメージとの説も)ワニ肌を進化させゴツゴツした皮膚にキノコ雲を想起させるモコモコした頭部にしたようだが、フォルムを決めるまで相当苦労したらしい。実際の製作は試行錯誤の上、出来上がった着ぐるみの重量が半端なくて重くて上下をぶった切って撮影したとか逸話は限りない、実は正確な色も謎のまま明確なカラー写真は存在しなくて、鎌倉カーニバルの宣伝で出向いたゴジラが唯一のカラー写真とされてる(海外ではポスターカラーからグリーンモンスターと呼ばれている)。
最初はゴジラはあまり姿を表さず足跡・音で想像させるなどの演出の盛り上げもさることながら、とにかく設定がすごい!ゴジラの身長50mは服部時計店の時計塔を壊すことを前提に(=首都東京の中止地銀座のランドマークとして選ばれた)、その対比から計算された身長(2024年2月4日フジテレビ番組「知らないうちに激変」では「ゴジラの身長は人間が見て恐怖感を感じる大きさ、建物から建物からぬっと出てくる大きさ」と言ってる。因みに有名な和光ビルとの対比、和光ビルは1932年竣工、地上から時計塔まで高さ39.39m屋上までの高さ:30.30m、時計塔の高さ:9.09m当時最も高い建物は東急会館=後の東急百貨店東横店西館43mはモスラで破壊されている、またゴジラ−1.0の身長は50.1mになっているが本当は50mにするところCGを作ったら10cm高くなっていたので+0.1になったそうだ)モノクロフィルムなのでゴジラが出てくるのは基本夜のシーンで時計塔の時間が11時だとすると何時にどこを通過するのでその時間の街の灯り想定した火入れしたとか、有名な鉄塔を放射熱戦で溶かすシーンはブリキ・銅・蝋を組み合わせ溶け方のバランスを考えた制作、銀座の電車に交通博物館のリアル模型を使っての撮影、ミニチュアセットの作り込みもCGやVFXでは無いリアルな特撮だった(特に合成シーンのリアルさは当時画期的、またビル単体での破壊シーンのミニチュアは破片が落ちる重量感を出すために3mをゆうに超える大きさの物を作った)いうところはもう神がかった作りとしか言いようが無い。
この当時はまだ大セットを組めるスタジオが完成していなかった中、オープンセットだからこその火炎の迫力は初代ならでは、その後の昭和ゴジラで超えるものは無い。ちなみに東宝の大プール(「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」のために建設以降の東宝作品でも使われた)もまだ完成してないので艦船の映像は実船(=海上自衛隊に貸与された米フリゲート艦、爆雷シーンは旧海軍の対潜訓練の映像と言われている)、ゴジラの芝浦上陸は小プール。照明も最初からモノクロのコントラストを意識したトップからのライティングが映える。ちなみにゴジラ上陸時の機関銃は本物らしい(当時はまだモデルガンが無かった)
と言うことはあのシーンに出ているのは当時結成されて間もない自衛隊員が撃っていると言うことになる、実際空砲用のアタッチメントが取り付けられている。また、芝浦上陸を待ち受ける大砲もまた本物の映像(空砲)を使用したとのことで模型では表現できない砲身の輝きが凄みを増している。
今見ても文句なく面白いしリアルすぎて怖い。ゴジラ-1.0を見た後に観ると各所にオマージュを感じられると共にVFXのあのシーンを特撮のリアル映像で撮影した凄さを改めて実感する。そして、ゴジラと対峙する自衛隊はこの作品が出来た年に正式に結成された、自衛隊が撮影に協力した始めての映画である(広報活動として防衛庁が映画に全面協力したのは「ゴジラVSビオランテ」が公開日としては初・1990年公開東映「ベストガイ」に次いで2作目平成ガメラシリーズより先)。
余談だが、この初代ゴジラはオキシジェンデストロイヤーで唯一消滅している、その後の昭和ゴジラは全て2代目(子供から大きくなったのを三代目とする意見もあるが基本的には全て二代目)、着ぐるみ(スーツ)としては何度も作り変えられたが顔は全て異なっている。兎にも角にもこのゴジラがいなければその後のゴジラはいなかった訳で問答無用にNO.1だ。
以下、個人的なゴジラランキング↓(全作品5回以上見た上で、今後他のゴジラシリーズもレビュー予定、ランキングは変わるかもしれません)
1『ゴジラ(1954)』
2『ゴジラ-1.0』
2『シン・ゴジラ』
4『ゴジラVSデストロイア』
5『ゴジラVSビオランテ』
6『ゴジラVSキングギドラ』
7『ゴジラVSスペースゴジラ』
8『ゴジラVSメカゴジラ』
9『ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃』
10『ゴジラ2000ミレニアム』
11『三大怪獣地球最大の決戦』
12『モスラ対ゴジラ』
13『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS』
14『怪獣大戦争』
14『ゴジラ×メカゴジラ』
14『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
17『キングコング対ゴジラ』
18『ゴジラ対ヘドラ』
19『ゴジラVSモスラ』
20『ゴジラ(1984)』
21『ゴジラFINAL WARS』
22『怪獣総進撃』
23『ゴジラ×メガギラスG消滅作戦』
24『GODZILLA ゴジラ(2014)』
25『ゴジラの息子』
26『ゴジラ対メカゴジラ』
27『ゴジラの逆襲』
28『ゴジラvsコング』
29『ゴジラ対ガイガン』
30『メカゴジラの逆襲』
31『ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘』
32『GODZILLA (1998)』
33『GODZILLA 星を喰う者』
34『GODZILLA 決戦機動増殖都市』
35『GODZILLA 怪獣惑星』
36『ゴジラ対メガロ』
37『ゴジラミニラガバラオール怪獣大進撃』