皇帝のいない八月のレビュー・感想・評価
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「皇帝のとんでもない八月」だよ。全く。
総理府的な映画。
右とか左とか言って、対岸の火事の如く自衛隊で遊んでいるが、絶対にあり得ない話である。
日本の民主主義を全く履き違えている。
サンフランシスコ平和条約の後、
日米安全保障条約を日本はアメリカと結んでいる。
従って、クーデターがもし起こるとすれば、天皇制があろうとなかろうと「米国指導での事変」が起こるかもしれないが、対外的に見てそれもあり得ない。
こんな映画作っていたんだね。
デフォルメなんて言ってる余裕など無い。
因果関係は全く無いだろうが、実際に東京のど真ん中で「クーデター」ではなく「テロ」が起こるのだ。ナショナリズムや特有のアイデンティティの無い者に一般人が狙われ、犠牲者を沢山出している。
つまり、世界に名だたる大都会のど真ん中で、理解不能な事件を起こしてしまったのだ。宗教、政治、経済、思想、貧困、民族、一体あのテロはなんであったのだろうか。
いわば、日本国の恥さらしなのである。この映画と同じなのではないだろうか?
類似する事件で言えば「シャロン・テート事件」や「ジョン・レノン事件」なのである。
決して「三島由紀夫事件」「226事件」「311同時多発テロ」なんかとは違う。
ただの愉快犯なのである。愉快犯の模倣事件なのだ。
三島由紀夫が泣いてるよ。三島由紀夫はそう言う意味で自決した訳でない。
タイトルなし(ネタバレ)
こういう映画があるということを、この映画を見て初めて知った。
内容は関係ないと言うと製作者に申し訳ないが、そんなものよりも役者さん達の演技に感動するということを。
今更遅いが、この映画を見て渡瀬恒彦を発見した。
終盤で、吉永小百合に詰め寄られ、制帽を取った時の表情に痺れた。
他の役者さん達も素晴らしい。
遅いけど、これから渡瀬恒彦を追いかけてみたい。
憂国の志士たち、その想いも虚しく…
Blu-rayで2回目の鑑賞。
各地で自衛隊員が一斉蜂起。元自衛官・藤崎(渡瀬恒彦)率いる中核部隊は寝台特急「さくら」をジャックし、日本政府に対してクーデター“皇帝のいない八月”を宣言。政府は秘密裏にクーデターを鎮圧するため、その包囲網を狭めていきます…。
パニック映画ブームに乗って製作された日本では珍しいポリティカル・サスペンス大作。
渡瀬恒彦を初め、吉永小百合、高橋悦史、山本圭、三國連太郎、丹波哲郎など豪華過ぎるキャスト陣が重厚かつ繊細な演技で魅せてくれました。
社会派映画の雄、山本薩夫監督の演出がめちゃくちゃ硬派でリアリティーに溢れ、緊迫感を保ちながらクライマックスまで駆け抜ける手技がお見事でした。
クーデターは成功しないというのは分かっていますが、じわじわと追い詰められていく様はやはり観ていて悲壮感が漂いました。憂国の志士たちの想いも虚しく、勝ち目の無くなった戦いに垣間見えた滅びの美学に心揺さ振られました。
もうひとつのドラマである藤崎とその妻、山本圭演じる記者の三角関係がエモーショナルで情感たっぷりなのも良かったです。夫の熱い想いを理解しているだけに、止めたいけれども止められない…。その先に死しか待っていないという状況の中で、身を焦がすような気持ちで夫の行動を案じる妻を演じる吉永小百合がめちゃくちゃ名演だなと思いました。それに何よりお美しい限り…。
全編に渡ってダイナミックで、この雰囲気は最近の日本映画では「シン・ゴジラ」ぐらいかなと感じました(絶対ファンの贔屓目が入ってます。すみません!)。
昔の邦画大作が持つパワーが大好きですが、本作も勢いと熱量がハンパじゃなく、好きな映画のひとつになりました。
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