劇場公開日 1978年9月23日

「和製『カサンドラ・クロス』・・・らしい・・・というより列車パニック映画風に始まったのにいつの間にか永田町に跋扈する魑魅魍魎たちのホラー映画になった感じ。後味悪し、だが看過出来ない怪作。」皇帝のいない八月 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5和製『カサンドラ・クロス』・・・らしい・・・というより列車パニック映画風に始まったのにいつの間にか永田町に跋扈する魑魅魍魎たちのホラー映画になった感じ。後味悪し、だが看過出来ない怪作。

2022年6月11日
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①『新幹線大爆破』のWikipediaに、類似作として『皇帝のいない8月』が『カサンドラ・クロス』にインスパイアされた作品とあった。あちらは生物兵器(極秘開発されたウィルス、こちらは日本で軍部政権樹立を図る自衛隊の中の極右クーデター部隊。)それで、もしかすると山本圭がリチャード・ハリスの役、吉永小百合がソフィア・ローレンの役で、過激派くずれの山本圭が過激派の時に身に付けた知識で列車を乗っ取った自衛隊のクーデター部隊と戦う映画か?と一瞬思ったけれど、日本でそんなパニック・アクション映画が作れる筈もなく、吉永小百合がソフィア・ローレンになれるわけもなく、『カサンドラ・クロス』が感染力の高いウィルスを極秘に開発していた事実を秘匿しようとするアメリカ政府の画策は背景で列車を止めようと戦う乗客達の活躍がメインだったのに対し、こちらは、ビンチヒッターで器用された(らしい)のが山本薩夫監督だったせいか、列車乗っ取りによるサスペンスやアクションよりも、支持率回復を目指す総理大臣や、軍部政権を樹立して再度権力の座に付こうとする政界のドン、並びに彼等周辺の大臣達の腹の探り会い、狐と狸の化かし会い、国民不在の権力闘争がメインのボリティカル・スリラーというか(後味的には)ホラーとなってしまった。

もーさん