恋人(1951)
劇場公開日:1951年3月7日
解説
製作は青柳信雄で、新進劇作家梅田春夫の放送劇「結婚の前夜」より、和田夏十と市川崑が脚色、「夜来香」に続く市川崑の監督作品。主役は「熱砂の白蘭」の池部良、「夜来香」の久慈あさみで、千田是也、村瀬幸子、北林谷栄などの助演。
1951年製作/70分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1951年3月7日
ストーリー
京子は結婚前日誠一を電話で銀座へ誘い出した。自由に遊べる最後の日を誠一とたのしく遊びたいというのであった。二人は映画を見てから、スケート場へ行き、てんぷら屋で一緒に食事した。その頃から誠一は京子の帰宅時間を気にしたが、京子は何故か家へ帰りたがらず、二人でホールで踊っているうちに、小さい時から兄妹のようにつき合って来た二人がこれまで気づかずにすごした感情が二人の間にこみ上げて来るような気分になった。結婚を明日に控えた女の感傷や気分の高ぶりではないかと京子は自省もしたみた。しかし二人が別れたくない気持ちは、そのまま二人をひきずって、ついに終電車にのりおくれてしまった。家では京子の父母が、さすがに十二時をすぎると、高まる不安を冗談にまぎらわせて待っていた。夫婦は暗黙のうちに、何か間違いが起こらなければならぬ気持ちが京子の心のどこかにあるのなら、間違いが起こっても仕方ないと覚悟はしているのだった。そのため父の恵介は、わざと貯金通帳と印鑑とを財布に入れてやったという。午前三時、若い二人は笑いながら帰って来た。そして、京子は、嫁いで行ったのだった。