劇場公開日 1974年11月23日

「オープンな家族とワケアリ娘」恋は緑の風の中 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0オープンな家族とワケアリ娘

2019年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 当時ストライクの年代だったため、映画館では観れなかったが、カットされまくりの地上波で興奮しながら見た記憶がある。あらためて見てみると、中学生の愛と性のめざめを描いた異色作ではあるが、青少年向けの映画ではなく、性教育をする親や教育者が見るべき映画だったんだとわかった。主人公の純一(佐藤佑介)が天真爛漫すぎるために一般家庭向きではないのかもしれないが、何かしらのヒントになるに違いない。

 とにかく裸で家の中を駆け回ったり、チンカスが病気じゃないかと心配になったり、父親と勃起したモノを比べようと言ったり、若くて綺麗な母親(水野久美)にキスしたりと、天然ぶりを発揮するが、両親ともその対処が上手くいっていたように思う。

 ストーリーは誰もが経験しそうな危なっかしい中学時代のことだが、長髪でチャラく見えても正義感が強い主人公なので、八百屋の娘雪子(原田美枝子)を不良たちから守るという行動にはちょっと感動を覚えたほど。その武勇伝は誇ってもいいほどなのに、世間の目は好奇に満ちているという大人の汚さも描かれる。純一に惚れている女の子もいるのだが、ケガを負った彼に大胆に迫るのに対してキッパリと拒むところも頼もしい。なかなか男らしいのだ。

 同級生たちとの絆も強く、雪子が両親の都合で転校することが決まったときには、転校しなくてもいいように隠れ家的な住まいを皆で作っていく過程も見ていて楽しい。

 恥ずかしくなるくらい純情なストーリーと切なさを兼ね備え、今じゃこんなの流行らないなぁとも思うのですが、底辺にあるのは男らしさを貫くことだと感じました。

 残念なのは独立プロであるため予算が少なそうだと思えることで、高価なフィルム代を惜しんだためか、子役たちの演技がまるでダメなところだろう。主演の二人はOKですが・・・

 若き日の原田美枝子のヌードが見たい方はどうぞ。

kossy