原野の子ら
劇場公開日:1999年2月27日
解説
阿蘇山の下、小さな分校に赴任してきた女教師と分校の生徒たち、そしてその家族との心のふれあいを、自然豊かな四季のうつろいの中に綴った人間ドラマ。監督は「先生あした晴れるかな」の中山節夫。吉田優子による同名原作を基に、「レッスン LESSON」の長谷部安春と「先生あした晴れるかな」下島三重子が共同脚色。撮影監督を「先生あした晴れるかな」古山正、撮影を北沢弘之が担当している。主演は新人の鳥飼美帆。アジアフォーカス福岡映画祭'98招待、シカゴ・インターナショナル・チルドレン・フィルムフェスティバル'98グランプリ受賞、99年度イラン映画祭、99年度ニューヨーク映画祭招待、文部省選定、厚生省中央児童福祉審議会特選、日本PTA全国協議会推薦、優秀映画鑑賞会推薦、映倫青少年映画審議会推薦、1997年度児童福祉文化賞受賞、日本芸術文化振興基金助成作品。尚、本作は全国でホール上映された。
1999年製作/127分/日本
配給:中山映画
劇場公開日:1999年2月27日
ストーリー
野焼きが行われる阿蘇の春。熊本市内の小学校から、生徒十数人、先生4人という小さな犬子迫分校にひとりの女先生が赴任してきた。田村淑子。一年と二年の担任になった彼女は、初めての家庭訪問で5人の子供たちのそれぞれの家族構成や家の事情などを知る。一年生の里子の家は、年の離れた長男・正道が農業の仕事を嫌って大阪に出ていったまま。2年生の誠也の家では、子供たちに農業の仕事を手伝う為にしばしば学校を休ませることもあった。また、同じく2年の知恵の家では、新しい農業を模索していろいろな試みをしているようだった。若い先生の赴任に、淑子は村人たちから歓待された。淑子もまた、子供たちや村の人たちに馴染もうと努力を惜しまなかった。だが、その一方でどこかぎこちなさも感じていた。「3年経てば、先生も熊本へ帰ってしまうんでしょう?」そんな生徒の言葉に胸を打たれた淑子は、実家のある熊本から村への引っ越しを決意する。村へ引っ越ししてきたお陰で、生徒との時間をより一層持てるようになった淑子は、自然豊かな阿蘇の下、教室だけには留まらないのびのびした教育を心がけるようになる。ある日、生徒の家族に不幸が襲った。里子の父親がトラクターの事故で死に、大阪で働いていた正道がやむなく帰郷し稼業を継ぐことになるが、その為に購入した新しいトラクターの借金返済の為に、母親が出稼ぎに出ることになったのだ。また、新しく始めたトマトやメロンの栽培が台風の被害を受けて大失敗した知恵の一家が、財産処分を村の人に託して夜逃げ。更に、すっかりやる気をなくした正道が自ら育てた稲に火を放つという事件まで起こしてしまう。そんな辛い日々の中で、淑子は子供たちを励まそうと、古くから伝わる・牛舞い・という行事を復活させようと考えるようになる。淑子の呼びかけで集まった村の年寄りが、子供たちに舞いとお囃子を伝授。舞いは祭りで神社に奉納することになり、子供たちは練習の成果を客に披露し喝采を浴びるのだった。一年間はあっと言う間に過ぎ、再び野焼きの季節がやってきた。卒業生を送りだした淑子は、暫くは村に残り先生を続けていくことを心に誓う。