劇場公開日 1986年1月15日

「今から思えば、吉永小百合、八代亜紀、風間杜夫の三人で、毎回舞台の街や設定を変えながらシリーズ化したら、きっとお客さんを呼べるシリーズになったんではないでしょうか?」玄海つれづれ節 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今から思えば、吉永小百合、八代亜紀、風間杜夫の三人で、毎回舞台の街や設定を変えながらシリーズ化したら、きっとお客さんを呼べるシリーズになったんではないでしょうか?

2022年3月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

1986年正月第二弾での公開
同じ吉永小百合主演で2000年公開の「長崎ぶらぶら節」と題名は似ていますが、全く関係はありません
原作は吉田兼好の「徒然草」ということですが、もうほとんど関係はありません
玄海だけは題名通りで、北九州それも若松を舞台にしています
序盤は横浜ですが、すぐに若松のバタバタ横丁という横浜野毛のハーモニカ横丁をもっと賑やかにしたような界隈に移ります
博多が九州の東京なら、北九州は九州の横浜だということでしょうか

ある意味問題作です
何しろ、吉永小百合がソープランド嬢になるのですから!
特徴的な形状をした通称スケベ椅子というものに腰を掛けお客を待って準備をしています
髪はソバージュのウィッグ
真っ赤な口紅、濃いアイシャドウ
ほとんど透明の薄いシミーズ
その下はピンク色のごく小さいマイクロビキニ
そんなあられもない姿の吉永小百合なのです
立つとぼぼ裸体の身体の曲線が見えます
腰から胸にかけての曲線のボリューム感や丸みの具合までわかるものです
むっちりとした腰回りがエロいです
他の作品で吉永小百合が濡れ場を演じて、喘ぎ、仰け反るような艶めかしい演技はいくつもあります
でもそれらは、裸を曝すことはほとんどないものばかりでした これほどアッケラカンと裸体を露出している吉永小百合を観るのは初めてです
吉永小百合41歳、まだまだ美しいのです
これサユリスト的にはどーなんでしょう?

主演吉永小百合、共演三船敏郎
その他豪華俳優多数
なんだか感動の超大作のように思えますが、全然違います
実際はお正月明けの肩の凝らないお気楽映画です
トラック野郎みたいなノリの映画です
お話はテキトーですし、真剣にみるようなものではありません
それをあえてこんな豪華な俳優陣で撮ってしまったという作品です

吉永小百合はのびのびと演技していて、素の吉永小百合の実像がひき出されていると思います
彼女は本当ならこんな映画にもっと一杯出たかったのかも知れません
今から思えば、吉永小百合、八代亜紀、風間杜夫の三人で、毎回舞台の街や設定を変えながらシリーズ化したら、きっとお客さんを呼べるシリーズになったんではないでしょうか?

プラザ合意は本作公開の3ヵ月前の1985年9月
それを号砲としてバブル景気がはじまったのです
吉永小百合のショートの髪型、化粧、太いまゆ、服装
どれをとってもバブルの立ち上がりを感じます
お話も地上げにまつわるお話です

プロデューサーは岡田裕介
劇中の大金の借金を方々にして蒸発してしまった主人公山岡ゆきの夫役として出演もされています
それもカメオみたいな一瞬の登場ではなく、セリフも、アップもありシーンも複数回あります
なんとなく石坂浩二に似ています

劇中の役名は山岡駿介
なんとなく吉永小百合が「駿介さん!」というと祐介さんに聞こえなくもありません
風間杜夫の演じる竹田一平が、吉永小百合の演じる山岡ゆきにお願い!一回だけ抱かせて!と拝み倒すシーンには、本音が込められています
そうして指も触れさせてもらえず一睡もできずひとつ布団で夜を明かすオチもまた、ひょっとして実話?!なんて思ってしまう可笑しさがあります

騙された借金の1千万円を取り戻そうとする緑川月代役の八代亜紀も好演しています
トラック野郎・度胸一番星などいくつも映画に出演しているので慣れたもので、とても本作の世界観にピッタリの配役でした
特に映画制作者に化けての詐欺シーンは笑い転げそうになりました
挿入歌の歌唱シーンも楽しいものです

劇中、何度となく写りラストシーンにも使われる赤い長大な吊り橋は若戸大橋
まるでセルジオ・レオーネ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のブルックリン橋のように巨大な橋柱が下町の背景にそびえ立っています
その作品は本作の2年前1984年の公開
きっと本作はそれを意識した絵作りをしていると思います

特撮ファンには、1964年の「宇宙大怪獣ドゴラ」で破壊されたことで有名です

重要シーンとなる歩道は本作の翌年の1987年に廃止されて4車線化されたそうです

北九州はいつも通過するばかり
新幹線が停まるのは小倉駅
駅前に三船敏郎主演で有名な「無法松の一生」のモチーフの祇園太鼓の銅像が在ります
その小倉から、西に7キロほどが戸畑
そこの北側が八幡の製鉄所
戸畑から若戸大橋か、劇中のように渡し船で渡ったところが若松
劇中に登場したバタバタ横丁はもう無いようです
あんな横丁でケベレケになるまで飲み歩きたーい!
気がついたら吉永小百合みたいな嬢のいる船頭町のソープにいたりして?

それより紺屋町にある全国的に知られたある音楽バーになんとしても行きたいのです
九州に行くといつも向こうの方に未明まで引き回されてぐでくでに飲まされてどうしてもたどりつかないのです
なんとしてもこんどこそ訪問したいものです
コロナ堝が明けたらなら行ってみよう

そんなこと考えてしまう楽しい映画です
あんまり楽しくてうっかり勢いで星5つつけそうになりました

あき240