劇場公開日 1971年8月14日

「【”沖縄は本土の為にある、と愚かしき大本営参謀総長は言った。”今作は壮絶な沖縄戦を様々なショットで描いた作品であり、この鑑賞するにはキツイ映画を製作した岡本喜八監督の功績は大きいと思います。】」激動の昭和史 沖縄決戦 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”沖縄は本土の為にある、と愚かしき大本営参謀総長は言った。”今作は壮絶な沖縄戦を様々なショットで描いた作品であり、この鑑賞するにはキツイ映画を製作した岡本喜八監督の功績は大きいと思います。】

2025年9月20日
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ー 岡本喜八監督と言えば、私にとっては「日本のいちばん長い日」が記憶に残るが、今作の様なドキュメンタリータッチの苛烈な沖縄戦を描いた作品を遺していたとは知らなかった。

  今作では、大本営総長たちの本土決戦を避けるための判断が、淡々と描かれる一方、沖縄を守る第三十二軍司令部の、牛島中将(小林桂樹)、長参謀長(丹波哲郎)、八原高級参謀
(仲代達矢)等の姿が対照的に描かれている。

  牛島中将は、戦後名将と言われているが、沖縄の民15万人の命を犠牲にした事で評価が別れる人である。が、今作では冷静沈着、温和な人物として描かれている。

  直情型の長参謀長を演じた丹波哲郎、冷徹な八原高級参謀を演じた仲代達矢も存在感がある。実際には牛島中将は二人を御せなかったという話もあるが、今作ではそれは描かれない。

  印象的なのは、死地に赴くのが分かっているのに、とっとと逃げ出した前県知事の後釜として赴任した島田叡知事(神山繁)が、県民を懸命に助けようとする姿であろう。この方を描いた映画を観てから感銘を受け本も2冊読んだが、何とも立派な方である。
  だが、それでも沖縄の民を救えずに、自身も沖縄のジャングルに消えた方である。

  沖縄の民の、次々に砲弾に倒れ、自決していく様は、観ていてキツイが、これが事実なのであろう。
  数年前に”ひめゆりの塔”に対し、不適切発言をした愚かな与党議員が居たが、政治家であるならば正しい歴史観を持つべきである。与党にはほかにも似たような輩がかなりいる。

<この映画で描かれる苛烈な戦闘シーンは観ていてキツイが、後世に悲惨な沖縄戦を伝える作品として、その制作意義は大きいと思うのである。
 名匠、岡本喜八監督による強烈な反戦映画であろう。当時の邦画の有名俳優が多数出演しているのも、意義深いと思った作品である。>

NOBU
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