劇場公開日 1971年8月14日

「6月23日は慰霊の日」激動の昭和史 沖縄決戦 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.06月23日は慰霊の日

2020年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 慰霊の日に何か出来ることはないかと、この作品を観ることにしました。史実に基づき細かな軍部の動きなどを再現してあり、ドキュメンタリー作品を観ている気分にさせてくれた。ドキュメント映像とともに人間模様を描いてはいるけど、再現フィルムっぽくて感情移入を許さない、逆に島民や兵士の一部となって観ることができました。

 特に詳しかったのが、第三十二軍を中心に大本営とのやりとり、第九師団が台湾へ引き抜かれたことなど、沖縄を本土決戦の盾にしている様子でした。民間側としては数々の洞窟における避難や集団自決など、知っていることもあれば、初めて知る史実もあり、満足いく内容でした。

 淡々としたエピソードのほか、散髪屋・比嘉三平を演ずる田中邦衛もストーリーを引っ張る重要な役目でしたが、ところどころにユーモアを取り入れ、人間のにじみ出るおかしさも喜八監督や新藤兼人らしく描かれています。そして、兵士によって壕を追い出されたり、スパイだとして撃ち殺されたり、戦争による狂気もしっかり描かれてます。

 なんと言ってもオールスターキャストであるところが凄い!スターであっても惜しみなく使い、死にゆく様子を描いています。火薬の量も半端ないと思うし、スピード感もある。美しい死にざまなんてない、10万人の兵士・15万人の県民の死は今でも忘れてはならない事実だ(兵士よりも県民の犠牲者が多いのも特徴)。72年に返還されるも、いまだ米軍基地が住民を苦しめている事実も考えなければならないと思う。

kossy