黒蜥蜴(1968)のレビュー・感想・評価
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年代や性別を超越した怪作
この作品を観にBunkamuraル・シネマ渋谷宮下を訪ねた。 50年前の作品ですが館内は老若男女を問わず幅広い年齢層で盛況でした。😄 conservative? avant-garde? そういった観念に囚われていない 🧐🤔 この空気感を醸し出しているのはやはり美輪明宏さんの存在が大きいのでは🙂 今日は何も考えずに素直に映画を愉しむ事が出来ました。
妖艶な空気感に浸れる怪作
江戸川乱歩原作の明智小五郎シリーズの一作を、三島由紀夫が戯曲化し、それを深作欣二が監督として映画化、さらに主演を務めたのが美輪明宏(当時は丸山明宏)――この錚々たる布陣を見ただけでも、本作がいかにエポックメイキングな作品であるかが分かります。今回、Bunkamuraル・シネマにて期間限定上映されていたため、観に行ってまいりました。
私は三島由紀夫のファンということもあり、彼が出演する場面に特に注目していました。噂に違わず、ナルシズム全開の姿で登場した際には、劇場内に微かな笑いが漏れる一幕もありました(笑)
さて、本作の原作は明智小五郎シリーズの一篇ですが、テレビドラマで天知茂が主演した『江戸川乱歩の美女シリーズ』と同様に、主役は「明智」ではなく「美女」。本作におけるその“美女”とは、宝石泥棒・黒蜥蜴こと緑川夫人でした。演じるのは美輪明宏。その妖艶さと存在感は圧倒的であり、本作最大の見どころとなっていました。
また、「美しさ」を永遠に保存するために生きた人間を殺し、人形として保管するという黒蜥蜴の倒錯的な趣向には、三島由紀夫自身の美意識や死生観と深く通じ合うものがあると感じられ、その意味でも、三島ファンには実に興味深い作品でした。
作品内容とは直接関係しませんが、本作が公開された1968年当時、三島は遺作となる『豊饒の海』の第2巻『奔馬』を連載中で、その舞台となったのが三輪山を御神体とする大神神社(おおみわじんじゃ)でした。そして1970年に三島が割腹自決した後、丸山明宏が三島の供養のために美輪明宏へと改名したということを思い合わせると、この作品に漂う運命的な結びつきに、何とも言えぬ感慨を抱かざるを得ません。(勿論三島と美輪の親交は、本作以前からありましたが。)
ミステリー作品としては、論理性や整合性といった面は気持ちよいほどに端折られており、そうした観点では物足りなさを感じました。しかしながら、作品全体に漂う妖艶な空気感、レトロ調の美術、まさに舞台劇のように誇張されたセリフ廻しなどに目を向ければ、それらが一体となって、実に美しい芸術作品として結実していたように思います。
そんな訳で、本作の評価は★3.8とします。
美しすぎる悪
中野武蔵野ホールで観て以来だから27、8年ぶり。まだ立ち見のあった時代で、札止め寸前のギリギリ入場だったから座って観るのは初めて。
オープニングからカルト臭ぷんぷん。任侠映画をやりながら、こういう攻めた演出もやる深作監督も守備範囲が広い。
30年以上前とはいえ一度観ているから、ざっくりストーリーは覚えてはいるのだけど、オシャレ映画に憧れていた若い頃とは見方が違うかも。
やはり若かりし頃の美輪さん美しい。黒蜥蜴が女なのか女装なのか最早どうでもよい。あんな衣装を違和感なく着こなせるのは凄いな。
逃げる時の姿もお美しい、いわゆる男装の麗人ってやつか、いや厳密には男装ではないのだけど、やっぱりあれは男装...ややこしい。
そして川津祐介さん、やっぱり昭和の俳優さんはカッコいい。ハンサムってやつだね。
いろいろ荒唐無稽な設定は否めないのだけど、近年は昔の映画がたくさんリバイバルされて嬉しい限り。
奇怪で妖艶なムードに酔う
監督・深作欣二×戯曲・三島由紀夫×主演・美輪明宏という、何だかスゴい面子。
江戸川乱歩原作の明智小五郎ミステリー。1968年の作品。
美輪明宏が名探偵を演じるのではなく…
美輪明宏演じる美しいものを狙う怪盗“黒蜥蜴”と明智小五郎の攻防。
ハッキリ言ってミステリーとしての見応えは弱いが、それでも本作がそれなりに楽しめる理由がある。
妖しさとほんのりエロティズムの奇怪なムード。
明智先生にはご免なさいだが、僕の好きな金田一耕助作品にもこういう退廃的な都会ミステリーがあり、何か惹かれるものを感じてしまうのだ。
三島由紀夫が美輪明宏の為に書き改めただけあって、全編美輪の土壇場!
妖艶な美貌、華麗なる女装、自分を追う明智への恋愛感情をも楽しみ、インパクト抜群。
尚、“黒蜥蜴”は女性という設定。念のため。
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