劇場公開日 2016年12月10日

「鬼才・石井聰亙の狂い咲きにしびれろ!なのだ!」狂い咲きサンダーロード かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5鬼才・石井聰亙の狂い咲きにしびれろ!なのだ!

2024年4月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

『高校大パニック』の石井聰亙脚本監督。

【ストーリー】
架空都市サンダーロード。
暴走族"魔墓呂死"の特攻隊長・仁は、爆走と暴力とSEXとロックの日々を送っていた。
近隣のグループと対立し、日夜火花を散らす中、新道交法施行を機に近辺の族が「愛される暴走族」へと統合しようという流れになる。
リーダーの健も魔墓呂死の加入をきめてカタギにもどろうとするが、仁は全てに反発して魔墓呂死新リーダーとして仲間をつどう。
だがそんな仁たちを、統合暴走組織エルボー連合が襲いかかる。
メンバーの一人、幸夫を拉致され、仁たちは救出に乗りこむが多勢に無勢で幸夫は殺されてしまう。
絶体絶命の彼らを救ったのは、魔墓呂死初代総長・剛(小林稔侍)だった。
自らをスーパー右翼と位置づけ、国防挺身隊を組織する剛に加入を求められる彼らだが、そこはさらなる地獄の入り口だった。

日本のバイオレンス映画のエポック。
若干22歳の石井聰亙(現・石井岳龍)が日藝在学中に制作。
ストーリーもキャラクター造形も演出も何もかもが稚拙、なのに強烈にイカレていてイカしてる。
初めてAKIRAを見た時に、この得体の知れないセンスがいったいどこからやって来たのかわからなくて熱狂するほどのめり込んだものですが、まさかのルーツがこの映画でした。

バイク、ケンカ、ナンパ、アルコール、覚醒剤、スーパー右翼(小林稔侍)、ホモセクシャル(小林稔侍)。
幻の町サンダーロード、暴走族魔墓呂死、エルボー連合、デスマッチ工場、バックブリーカー砦、ジャンキー小学生、マッドボンバー、そして小林稔侍(小林稔侍)。
疾走感のあるパンクロックとともに脳髄を突き刺す刺激的なアイデアの奔流が次々とこちらをぶん殴っては走り去ってゆきます。
ネーミングから何からまんま小学生男子の思いつきで説得力ゼロなんですが、監督自身に観客を説得する気なんか、これっぽっちもないのだから仕方がない。いいや仕方なくなんかない、これがいい。石井聰亙はこれでいいのだ。
小理屈こねる大人を納得させるための説明なんか知るかしゃらくさい。
ただ尖ってるだけの部品をひろい集めて作りあげた98分。
ズタズタになりながらひたすら爆走するために生まれた、バイタリティだけが噴きだすほどパツパツにあふれた野生の叫び声。
それがこの映画、狂い咲きサンダーロードです。

しかしよくこのドンピシャなタイトル思いついたなあ……(感嘆)

かせさん
kossyさんのコメント
2024年4月17日

若者が暴走するだけの映画てのは感動できなくなってしまいます。あぁ、俺も歳だなぁ・・・としみじみ。
中高生時代に戻りたくなる映画は好きです♪

kossy