国定忠治(1958)のレビュー・感想・評価
全1件を表示
ドリフのコントで知っていた名台詞や名シーンの「本物」に出会て胸アツ!!
三度笠の旅姿で月夜の赤城山中で「赤城の山も今宵がかぎりっ」と別れの向上を
芝居ががって台詞をいう志村けんとか
「 ああ雁が鳴いて南の空へ飛んでいかあ」と志村けんがいうと(カアカアと雁ではなくてカラスが鳴くギャグ)とか
刀をふりかざしながら「俺にゃあ生涯手前という強い味方があったのだあ~」とか…。
これ、何の物真似だったのか
戦前戦後日本で大人気だったお芝居の「国定忠治」親分のお話のパロディだったんですね。
映画化もたくさんされているようですが、なんとなくは知っていたけれども、ちゃんと国定忠治のストーリーを知ろうと思ったら、「国定忠治を見るなら、1958年版がおススメだよ」といわれましたので、1958年版の、主役が大河内傳次郎さんという、戦前から活躍する日本の映画の創成期を支えた超大物の時代劇俳優さん、三船敏郎さんが出てくるずっと前の方ですけれども、日本映画史でも超がつくくらいのグレイトな俳優・大河内傅次郎さんが忠治親分を演じる「国定忠治」を観ました。
殺陣のシーンが圧巻すぎる!
チャンバラが、早い! 出演者全員剣の達人なんでしょうね。
デビュー仕立ての若い里見浩太朗さんもご出演されていて、任侠の世界にいるけれども、まだ若くて頼りない若者を演じています。
里見さんハンサム!
キレイなイケメン~♪
そして、剣が早くて、すごい!んです。
1950年代の時代劇は、当時はまだ江戸時代に生きていて、江戸時代のことを覚えている人達もいた時代なので、昔の所作が完璧で、タイムスリップして江戸時代の世界をのぞき見してるような気分になります。
それと、どうして国定忠治のテーマソングが「赤城の子守唄」で、どうして任侠の親分の話なのに、子守唄がテーマソングなのか、今までさっぱり訳が分からなかったのですが、ちゃんと映画を観て、理由がわかりました。
これは泣ける!
もしかして「子連れ狼」は国定忠治のストーリーを参考に作られたんじゃないでしょうかね。ついでにいうと、マーベルの「ボバフェット」がグローヴを連れているのも、私は日本の時代劇の「子連れ狼」にヒントを得てると読んでいますが、古い映画は後世の映画に多大な影響を与えて、とくに日本の時代劇はハリウッドの人たちにも愛されているそうですから、ハリウッド映画が好きな方は、日本の古い時代劇を掘り起こして観てみると、新たな発見があっても面白いのではないかと思います。
という意味では、この国定忠治は要チェックで、観ておいた方がいい作品だと思いました。
また、任侠(というとヤクザ)ですけれども、どうして国定忠治親分の話は人気があるのか、任侠でも弱い者の味方で、強くて悪い奴を徹底的にやっつけてくれるので、観てると、勇気が湧いてきて、「親分さんが令和の時代にタイムスリップしてくれたらいいのに」と、ちょっと夢想してしまいました。
令和の日本では「鬼滅の刃」が流行っていて、少年が鬼退治に奔走しているストーリーが流行っています。昭和の時代は、まだ「親分さん」が弱い人達のために立ち上がって、ちゃんと鬼退治してくれてたんですね。若い衆も頑張って鬼と対峙して闘ってくるけど、手ごわい鬼は退治できなくて悔し泣きしながら戻ってきて、そしたらちゃんと親分さん、ちゃんと話をきいて、ふてえ野郎だと分かったら、親分さんが自ら出かけていって、ちゃんとやっつけてくれるんです。
鬼滅でいうと「柱」が親分さんの代わりをつとめてるのかな…という対比をしてみますが、国定忠治親分は、鬼滅でいうと、産屋敷耀哉のポジションだと思うのですが、産屋敷さん、なかなか現場に出ていきませんね。
令和の若い日本人は「キングダム」や「ゴールデンカムイ」や「鬼滅の刃」などを好んで観ています。闘いたい気持ちが高まっているんじゃないかと思います。「弱い者いじめをしてるやつらを誰かにやっつけてほしい」という願いや、「どんなに努力してもがいても、自分の人生がちっとも良くならない」という現実に怒りをもっている人が増えている現れではないでしょうか。
弱い者イジメをする人を退治してくれたり、やむなき理由で、人の道から外れてしまうくらい追い詰められた人を家族として受け入れ、食事と寝る場所を与えて、ともに生きていこうする忠治親分は、非行少年や問題児の親がわりを買って出て、彼らの悩みを受け止めながら、ともに生きる徳の高い人なんじゃないかとおもったりしました。任侠の人達は十手持ちを兼ねている地域もあったんだそうで、「任侠とヤクザは似て非なるものだ」という話を聞いたことがありますが、国定忠治をみていると、なぜ「任侠とヤクザは別ものなのか」を理解することが出来ました。
私もいい年ですが、たまに性格の悪い人から、意味もなく人格攻撃を受けたりします。度を越している場合は縁を切ったり、言い返したりしますが、嫌がらせをしてストレス発散をして生きていたり、卑怯なことをして自分が得をするように
不正に仕事を操作してる人は実在します。忠治親分の話をみていたら「泣き寝入りしないで、ちゃんと闘おう(※ただし暴力はつかわずに)」という気持ちになったので、がんばって勝ちました!
メンタルを強くしたい人にはいい映画だと思います。
全1件を表示