「深い愛が生み出した惨劇」悪魔の手毬唄(1977) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
深い愛が生み出した惨劇
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金田一耕助シリーズ(石坂浩二版)第2作。
DVDで3回目の鑑賞。
原作は既読です。
シリーズでいちばん好きな作品です。前作のような絢爛さは無いものの、事件の発端となる相関図や愛憎の交錯する濃密な人間関係が、寒々とした山村の風景と重なり合うことで、虚無感や悲しみが増幅されていく演出が堪らなく良い。
それもこれも、演技陣の熱演があるからこそ成り立つものだと思いました。中でも岸惠子と若山富三郎が出色。ベテランの技と言いましょうか、このふたりがいなければ成り立たなかったと言っても、決して過言では無いなと思いました。
殺人の美学の、前作を遥かに凌ぐ鮮烈なビジュアルに圧倒されました。鬼首村手毬唄に見立てられた連続殺人、道具立てが毒々しいほど派手なので、事件の陰惨さに拍車を掛けているようでした。原作の描写を見事に再現していると感心させられ、さすが市川監督ならではの映像美だなと思いました。
過去の事件がもたらしたものが遠因となり、ある人物の深い愛情故に、今回のような悲劇が生まれてしまいました。大切なものを守りたいと云う一心が、善悪の一線を越えさせ、取り返しのつかない事態へと発展してしまったなんて…ツラい。
[以降の鑑賞記録]
2020/10/10:Amazon Prime Video
※修正(2023/06/01)
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