「冬枯れの山村、愛の惨劇」悪魔の手毬唄(1977) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
冬枯れの山村、愛の惨劇
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DVDで3回目の鑑賞。
原作は読了済み。
シリーズでいちばん好きな作品である。前作のような絢爛さは無いものの、事件の発端となる相関図や愛憎の交錯する濃密な人間関係が、寒々とした山村の風景と重なり合うことで、虚無感や悲しみが増幅されていく演出が堪らなく良い。
それもこれも、演技陣の熱演があるからこそ成り立つものであろう。中でも岸惠子と若山富三郎が出色だ。ベテランならではの技と云うか、このふたりが出演していなければ成り立たなかったと言っても決して過言では無いなと思った。
殺人の美学の、前作を遥かに凌ぐ鮮烈なビジュアルに圧倒される。鬼首村手毬唄に見立てられた連続殺人は、道具立てが毒々しいほど派手なために、事件の陰惨さに拍車を掛けているようだった。原作の描写を見事に再現しているなと感心させられ、さすが市川監督ならではの映像美だなと感じた。
過去の事件がもたらしたものが遠因となり、ある人物の深い愛情故に、今回のような悲劇が生まれてしまった。大切なものを守りたいと云う一心が善悪の一線を越えさせ、取り返しのつかない事態へと発展してしまったのである。なんと云う悲惨⋯
[鑑賞記録]
2015/01/04:DVD
2020/10/10:Amazon Prime Video
2025/11/13:日本映画専門チャンネル
*修正(2025/11/13)
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