「少年の旅立ち・試練そして帰還 秀逸な青春映画」銀河鉄道999 eichanさんの映画レビュー(感想・評価)
少年の旅立ち・試練そして帰還 秀逸な青春映画
初めての鑑賞は小学校中学年の時に劇場で、その後も何度かテレビ放送やDVDで見て、この度中年になって改めてDVDで見直した。この映画は、何度見ても飽きない。何度見ても面白い。傑作の必須条件である。小学校中学年で初めて見た時は、主人公の鉄郎に自らを重ね合わせて、これから始まるであろう自分の青春に心を馳せた。この物語は、よく神話の主人公が踏襲する旅立ち・試練・帰還で構成されている。それは正に人が青春にさしかかって経験する人生のステップであり、観客は非常に感情移入しやすい。それから物語の舞台は、近未来の遥かなる未知の宇宙で、自ずから観客は主人公同様冒険心を掻き立てられる。作品のテーマも重い。命は有限であるからこそ、人は懸命に生きるし、命は有限であるからこそ、そこに愛惜が生まれ、思いやりや優しさも生まれるという普遍的なメッセージが込められている。内容も心踊る冒険活劇であり、少年時の淡い恋心も描かれていて、秀逸な青春映画に仕上がっている。これからも何度も見たい映画であり、是非多くの若者に見て欲しい映画である。
銀河鉄道999の映画は見たことがないが、自分が学生の頃、TVで再放送されているのを見てファンになった。単行本の漫画を読破し、ほかにも松本零士の作品を買って読んだ記憶がある。フランスのハウスユニットである、あのダフト・パンクも松本零士の大ファンであり、2001年にリリースしたアルバム、「ディスカバリー」ではジャケットに松本零士のアニメーションを起用。これほど誇らしく思ったことはない。松本零士の作品は世界を魅了したのだ。星野鉄郎はこれといった外見ではない。よくあるイケメンではない。だが、見る人に感情移入させ、一緒に旅をさせた。共に泣いたり、笑ったりした。学生の頃の微妙な時期に松本零士の作品に出会えたことはとても光栄なことだ。星野鉄郎を通し、松本零士から若者へとメッセージがこめられている。「完全燃焼」。そう訴えかけている気がしてならない。