霧の子午線のレビュー・感想・評価
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ノルウェーのフィヨルドのように入りくんだ女の心の襞
1960年代後半から一人の男子学生淡路といつも一緒に安保闘争のデモに参加していた二人の女学生の15年後を吉永小百合と岩下志麻が演ずる。同じ男を好きになってしまう親友の二人。母親から自分の父親を教えてもらえず、グレ気味の岩下志麻の高校生のひとり息子(山本耕史)は母親の親友の吉永小百合をストーカーするほど好きで彼女の家をたびたび訪れる。吉永小百合も山本耕史の飲み残しのコップの縁を撫でて、唇をつける。岩下志麻の年下の愛人役の玉置浩二も吉永小百合に惹かれてゆき、二股。
芥川賞受賞女流作家の小説が原作。てっきり、渡辺淳一かと思った。時代を感じる。
ルウェーのひなびた漁村に住んでいることが分かった淡路(林隆三)の元を訪ねる岩下志麻。死期を悟った吉永小百合はノルウェーのホテルに遅れて到着するが、岩下志麻とダンスを踊ったあとに急死してしまい、淡路には会わずじまいだが、岩下志麻がフィヨルドを見下ろす場所で絶叫するラスト。
クローン病原因不明の難病。急死することほとんどはないと最初に注釈がでるので、吉永小百合が急死することは明白なのだが、もしかして、山本耕史との◯◯で子宮外妊娠?
吉永小百合が検査や手術を受ける病院は自治医大附属大宮医療センター。バリウム検査を行う若い女性医師の横で、モニター画面ではなく、女性の横顔ばっか見ている中年男性医師が林隆三や玉置浩二よりもヤラしい😎
主題歌である中島みゆきの名曲『二隻の舟』(♪︎私たちは二隻の舟・・・ひとつずつの・・・そしてひとつの・・・♪︎)の世界には遠く及ばず
①永年に渡る女性二人の友情物語としては『ジュリア(Julia)』『愛と喝采の日々(The Turning Point)』『ベストフレンズ(Rich and Famous)』等がある。名作『ジュリア』は別格として、メロドラマとしては『愛と喝采の日々』『ベストフレンズ』に近いように思う。ただ、言っちゃ悪いが、監督が出目昌伸なので文学映画の風格が出ていない。ジョージ・キューカーのレベルの監督/演出だったら良かったのに。②20年前と現代とで奇しくも一人の男(もちろん別々の男)を二人の女が共有することになり結局片方と結ばれるという設定において、当事者の二人の女の愛憎・葛藤は二大女優、岩下志麻と吉永小百合は上手く表現出来ていたと思う(それぞれ夜叉の様な表情をするところはなかなか凄い)。しかし、二人の間に入って二人の心をかきみだす事になる男を演じる玉置浩二が下手くそなので、もっと上手い俳優が上手い受けの演技をすれば二女優の演技も好演というレベルになったと思われるのが惜しい。③原作がそうなので仕方ないかもしれないが、八重は映画では特に死ななくて良かったのではないか。八重の死を通して何を描きたかったのは不鮮明。ラスト、フィヨルドに向かって岩下志麻扮する希代子が両手を挙げて八重の名を数回叫んだ後泣き崩れるシーンは意味がよくわからない、卑弥呼か❔④吉永小百合はその優等生風なところがあまり好きではないのだが、本作は『細雪』や『おはん』のように見た目はたおやかながら女の魔性を秘めた様な役でなかなかよろしかった。⑤山本耕治は二十歳過ぎの頃で岩下志麻と吉永小百合の両方と絡む役でかなり緊急したと思うが、なかなか上手く演じていた。⑥撮影は木村大作だけあってノルウェーのフィヨルドの風景は素晴らしい。
岩下志麻と吉永小百合、2大女優の共演
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