劇場公開日 1996年1月20日

「主題歌である中島みゆきの名曲『二隻の舟』(♪︎私たちは二隻の舟・・・ひとつずつの・・・そしてひとつの・・・♪︎)の世界には遠く及ばず」霧の子午線 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0主題歌である中島みゆきの名曲『二隻の舟』(♪︎私たちは二隻の舟・・・ひとつずつの・・・そしてひとつの・・・♪︎)の世界には遠く及ばず

2022年9月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

①永年に渡る女性二人の友情物語としては『ジュリア(Julia)』『愛と喝采の日々(The Turning Point)』『ベストフレンズ(Rich and Famous)』等がある。名作『ジュリア』は別格として、メロドラマとしては『愛と喝采の日々』『ベストフレンズ』に近いように思う。ただ、言っちゃ悪いが、監督が出目昌伸なので文学映画の風格が出ていない。ジョージ・キューカーのレベルの監督/演出だったら良かったのに。②20年前と現代とで奇しくも一人の男(もちろん別々の男)を二人の女が共有することになり結局片方と結ばれるという設定において、当事者の二人の女の愛憎・葛藤は二大女優、岩下志麻と吉永小百合は上手く表現出来ていたと思う(それぞれ夜叉の様な表情をするところはなかなか凄い)。しかし、二人の間に入って二人の心をかきみだす事になる男を演じる玉置浩二が下手くそなので、もっと上手い俳優が上手い受けの演技をすれば二女優の演技も好演というレベルになったと思われるのが惜しい。③原作がそうなので仕方ないかもしれないが、八重は映画では特に死ななくて良かったのではないか。八重の死を通して何を描きたかったのは不鮮明。ラスト、フィヨルドに向かって岩下志麻扮する希代子が両手を挙げて八重の名を数回叫んだ後泣き崩れるシーンは意味がよくわからない、卑弥呼か❔④吉永小百合はその優等生風なところがあまり好きではないのだが、本作は『細雪』や『おはん』のように見た目はたおやかながら女の魔性を秘めた様な役でなかなかよろしかった。⑤山本耕治は二十歳過ぎの頃で岩下志麻と吉永小百合の両方と絡む役でかなり緊急したと思うが、なかなか上手く演じていた。⑥撮影は木村大作だけあってノルウェーのフィヨルドの風景は素晴らしい。

もーさん