劇場公開日 1983年10月29日

「父から義理の息子へ、そして孫へ、という漁師としての“性(さが)”の系譜が…」魚影の群れ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0父から義理の息子へ、そして孫へ、という漁師としての“性(さが)”の系譜が…

2025年4月10日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

キネマ旬報において、ベスト5が、
①家族ゲーム(森田芳光)
②細雪(市川崑)
③戦場のメリー・クリスマス(大島渚)
④東京裁判(小林正樹)
⑤楢山節考(今村昌平)
という名作揃いの年ということもあり、
実質第7位選出以上の作品では、と想像して、
相米慎二監督の当未見作品を
TV放映を機に初鑑賞した。

けが人がいるにも関わらず、
大魚と格闘する姿には漁師の“性(さが)”を
見せつけられたかのようだったが、
それに反発した独立した若い漁師も、
あたかも、その漁師の“性(さが)”を
引き継いだかのように、
我が子にも漁師としての道を望みつつ
大魚と格闘して命を落とす、という
漁師の本能の世界に引き込まれた。

少し残念だったのは、
やむを得ないことではあるが
方言であることも影響して、
台詞に聞き取れない箇所が幾つかあり、
理解に支障があったことだったろうか。

それにしても、緒形拳と佐藤浩市は
大変な撮影に臨んでいたことが、
画面からヒシヒシと感じ取られ、
そんなシーンの演技に臨む
俳優という職業の“性(さか)”にも
今更ながら頭の下がる思いだった。

KENZO一級建築士事務所
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