劇場公開日 1969年10月19日

「本当にステキなカルト映画」江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 因果さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本当にステキなカルト映画

2022年3月12日
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脚本の異常性を最後までパワーで押し切るバカ映画。どれだけおかしな事態に巻き込まれても意外と冷静な主人公の精神的タフさに思わず笑ってしまう。しかし話が進むにつれさすがの彼も狂気の世界に引き寄せられていき、いよいよ全面的破綻かと観念したところで突如現れる探偵・明智小五郎。彼は語り手としての地位を主人公から奪い取り、あっちこっちに散逸した事件の破片を推理のパズルフレームに強引に嵌め込んでいく。孤島で奇形人間を量産する主人公の父親や意味不明な倒錯プレイに執心する屋敷の執事も相当な異常者だが、それらを断罪する明智小五郎も同程度の異常者なので事の真相が暴かれたところで何のカタルシスもない。その空転ぶりが面白くて面白くて腹が捩れた。最後はダメの一押しと言わんばかりに主人公とその想い人(主人公の実妹)が花火と一緒に夜空に打ち上げられ、「お母さーん!!」と叫びながら爆発四散する。マジで何なんだよこの映画。カルト映画が見たい!と思ってこれを引き当てることができた僥倖にただただ感謝するばかり。

因果