劇場公開日 1997年12月27日

「なんといっても役所広司だナ」CURE pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0なんといっても役所広司だナ

2023年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

連続殺人事件の参考人に翻弄される刑事の姿を描いたサイコ・サスペンス。

今回、黒沢清監督の映画をはじめてじっくりと鑑賞しました。26年前の映画なのに、もっと昔に作られたような感じがしたのは何故だろう。それはともかく、どこか映画研究部の学生が作ったような垢抜けないところがあるかと思えば、「水」の演出など、非凡な才能をうかがわせる場面があったりと、ちょっと不思議な感じのする作品でした。また、ストーリーの細部に少々わかりにくいところがいくつかありましたが、これは僕が集中していなかったせいでしょうか。

誰もが心の奥底にとどめているであろう、自分でも認めたくないネガティブな思いや感情。それらを表に引っ張り出されるのは恐ろしいことです。ある出来事を契機として、そんな思いや感情が一気に噴出してしまうかもしれないという、人間の本質的な危うさを表現したところが怖い。

萩原聖人も魅力的だったし、うじきつよしもよかった。でんでんや洞口依子や大杉漣など、名脇役がそろっているのも魅力です。しかし、なんといっても本作の最大の見どころは、役所広司の演技でしょう。高部と間宮が対するシーンは、とても見応えがあった。役所さんは、この頃からいまと変わらない圧倒的な存在感を示していたんだなぁ、と思わせられました。

ところで、“CURE”って「魂の救済」という意味もあるんですね。

追記
中川安奈さんの姿を久しぶりに拝見しましたが、2014年に亡くなったとのこと。知りませんでした。
むかし活躍していた俳優さんがいなくなるというのは寂しいものです。

peke