「後味の悪さがクセになる!」CURE 4匹のミーアキャットさんの映画レビュー(感想・評価)
後味の悪さがクセになる!
役所さんフィーバーが来ていたので観賞。
昔のミステリーサスペンスなので些か不安でしたが、後味の悪さが最高でした。
萩原さん演じる間宮の狂信的な思想の持ち主。明らかにおかしいのについ聞き入ってしまう穏やかな語り口で聞き手の心を暴き、脅迫めいた言葉で心の奥底にある狂気を認識させ、更にその狂気を発散することで救われると思わせる…そうして多くの人間に心を爆発させる。ところが間宮自身はそれを救いと信じて疑わない。サイコパスとはまた違う、「何かを心底信じ込むと狂気になる」という気味悪さがありました。
旧題は「伝道師」だそうで、まさにそれでした。あの独特な会話術(何度も同じことを言わせたり、脈絡のない質問をしたり、急に的をえたことを言うなど)は観てる側もあっという間に飲まれてしまいました…。
役所さん演ずる高部は刑事として悪を憎み犯人を追う。しかし苦難の末ようやく逮捕した犯人が神経衰弱などを理由に適切に処罰されない現実に不満抱き、更に心を病む妻に関する悩みは尽きない。それでも間宮の言葉に最後まで抵抗しますが、結局は自分が伝導者となってしまう。この役柄を演じた役所さんは素晴らしかったです。悪を憎むと言う刑事ならではの性格を持ちつつも、段々と蝕まれていく姿を見事に表現していました。
うじきつよしさんはやっぱり良かった!高部を心配し元気づけ、捜査にも協力してくれる良き友。すでに間宮に掌握されていると分かったシーンは鳥肌が立ちました…
ラストの「癒せ癒せ」コールは本当に気持ち悪くて、役所さんの覚醒したような表情も相まって後味の悪いエンディングでした。
難点を挙げるとすれば、途中グロかったことと、旧題の「伝道師」が無いと物語の本質が伝わりにくいのではと感じた事です。