君よ憤怒の河を渉れのレビュー・感想・評価
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中国で絶大な人気を博したと聞き、健さんファンの私は期待に胸を膨らま...
中国で絶大な人気を博したと聞き、健さんファンの私は期待に胸を膨らませた。
が、どうだ。久々にぶっとんだ作品に出会った。質の悪い二時間ドラマのようだった。いや長い分だけさらに最悪だった。これが東映後の第一作という健さんが気の毒で仕方ない。
熊、セスナ、馬、そして中野良子とのロマンス。キスシーンもいらないし、吹き替えらしいヌードも三流二時間ドラマの演出だ。大袈裟、軽薄な音楽。何もかもが衝撃的だ。
そうだ、もうこれはコント、ギャグとして見るしかない。そう思って見ると、この映画、実は最強なのかもしれない(笑) 熊、セスナ、馬・・・爆笑必至。
俺に憤怒の河を渉れって?
松竹映画なのに製作 永田雅一。確かに大映臭プンプン、だけどさっきまで東映にいた高倉健主演。この時点でなんだか良く分からない感じなのだが、「太陽に吠えろ!」か?と思わせる粗削りなカメラの動き、深刻な状況を全く無視した呑気なBGMと続くと、健さんではなく、観客の心にふつふつと怒りが満ちてくる。
逃亡犯なのに東京・奥能登・日高を楽々と移動して、検事らしからぬサバイバルスキルを発揮。そりゃ、追いかける刑事の原田芳雄が感心して言わなくても「検事にしておくには惜しい男」だよ。自衛隊の特殊部隊で活躍してもらったほうがいいに決まっている。そのことは後年ちゃんと「証明」されている。
そんなもんだから、ぬいぐるみとすぐに分かる熊が出てきても、もう観客はそんなことでは怒らないし、中野良子と健さんのラブシーンがいつ始まるのかくらいしか興味がわいてこない。
そんな観客の怒りの増大とは反比例するかのように、当初健さんへの敵意むき出しだった原田芳雄が、徐々に健さんへの信頼と尊敬を示すようなる。 健さんを泥棒扱いした田中邦衛の写真を片手に、「とぼけた顔しやがって」と吐き捨てるあたりから、原田がグングン乗ってくるから、中野と結局はやっちゃった健さんに代わって物語を動かしていく。
新宿駅前に馬を走らせるアイデアは良かったが、いい加減だれ切ったこの映画のもはやこの時点でそれを見せられても、そこまでやる意味あるの?と思う観客が多いだろう。どうせなら冒頭にガツンとかまして、フラッシュフォワードにしたほうが俄然興味が湧いただろう。
つまらない映画にくどくどこれだけ書くことがあるのは、半端じゃなくつまらないということ。これだけ欠かせればもう立派なもので、最後に西村晃が射殺されると、観客の多くはチケットの半券を握りしめて憤怒の河を渉っていったことだろう。
健さん、なんで死んじゃったんだよう(涙)
西村寿行原作の実写版。
38年前の健さんはやっぱり渋い。
故原田芳雄や田中邦衛、中野良子、倍賞美津子
とそうそうたるキャスティング。
ハードボイルドを絵に描いたような主人公を
ご存じ、健さんがしっぶーく演じます。
無口で一本気、しかもハンサム。
こりゃあ惚れるわ。
作中では中野良子のヌードシーンも
見れます。
まあ、熊や世間知らずのお嬢様に
惚れられるあたりは、小説の世界だが
エンターテイメントだから許します。
日本の映画界は本当に、惜しい人を失った。
彼を超える後継者は個人的にはいない。
ああ、健さん、天国でも愛されているでしょう。
合掌。
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